優先順位は下の下の下で【及川徹】

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「っ…………」




ほんの少し、バツの悪そうな顔をして


その整った顔を歪めた








この顔、朝も見た









どうしてこうもうまくいかないんだろうか、




他人事のくせに傷ついた顔をする。

そういうのが無性に腹が立つんだ









褒める、無関心、罵る








私に同情なんかいらなかった


本当はお前が悪い。そう言ってくれた方が断然ましだ。









だから、ねぇ



『…………ごめんね』



そんな顔、しないで



『だめだめな先輩で、』











片手に保たれた金属は、徐々に我が熱で温まっていった


ガチャりと金属の軋む音と共にそれを右に回す





『ばいばい。国見くん』






本当は一発ぶん殴ってやりたい

バーカとでも捨て台詞を吐いて。







けど、







私は弱虫だから、そんな勇気もないな




国見くんに背を向けながら自分に笑ってやった









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「先輩に、追い打ちかけますよ」







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不意に背後から、妙に静まり返った声がした


扉から私の体が体がするりと通り抜ける時





彼の口は、声は、








一言足りとも残さず、私の耳に届いた










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____________及川さん、浮気してますよ






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またもう一度振り返って、今度は全力で笑ってやった










【し・っ・て・た・よ】












今度は君がびっくりしたね

立場逆転ってこのことかな











残りの時間は教室に行こう

で、本持って図書室も行こう










今日は一時限目数学だっけ



あ、そういえば面白い本あったんだったあれ借りよう



お昼ご飯なに食べようかな










まるで本音を上書きするかのように、







【辛い】





そのたった三文字は誰にも届くことはない。







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少女はもう、振り返らなかった

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