優先順位は下の下の下で【及川徹】

存じてる ページ24

『………………！』




目をこれ以上に見開かせて、なんで………と、小さく声を漏らした





別に隠してるつもりはなかったものの、

話すつもりもなかった








学校で徹と話してるところなんて

１日に指折りで数えても片手が余ってしまくらい







付き合ってる？なんて聞かれることも夢のまた夢。

聞かれたことも、噂されたことも微塵もない。







それなのに、なぜ知ってる。それも後輩が



『徹から………なにか言われましたか…………』


声が震えた


蚊が飛んだような、絞り出した声







ぎゅぅっと喉が潰れたようだった






「あれ？」






しかし、彼の答案は予想の斜め上。もしくはそれ以上の答えをだした







「ちょっと冗談だったんですけど……………







もしかして、当たってましたか？」





心なしか、明るげな声

かすかに上がった口角








カマかけられた







理解するのにはそう時間はかからなかった








ただでさえストレスが溜まる中のこの理解しがたい行動は

一瞬、彼の喉笛を掴みそうになるほどだった









『…………貴方は、何がしたいんですか』

「なにがって………別になにも。

冗談が事実だっただけですし、先輩の弱みを握ろうとも思っていません」





ぎしりと音を立てながら、ソファの背もたれに体を沿わせながら頭をつけた






『すみません。気分が悪いので私、出ます』






なるべく。なるべく冷静に

感情を出すな







息を吐く音、吸う音それすらも聞こえないほどの無音が広がる中、私は立ち上がった







そうしてドアノブに手をかけたその時






「先輩さ、







なにに怖がってんの？」









きっと、ここで動きが止まってしまったのは図星だったからだろう



言い返せない。否定もできない








『なんでしょうね………そんなの







私が知りたいです』






振り返りざまに、自嘲気味に笑ってやった





「っ…」








あー、










(もっと、ちゃんと(・・・)笑わないとな)

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