【わかるでしょ。】1 ☆ ページ38
☆主人公サイド
羽生くんが日本に帰ってくる日は、案外早くやって来た。
『モニュメントの式典が青少年文化センターであるんだよ。』
そうメッセージが入っていたのは、今から3週間ほど前。
話を聞けば、ほんの一時間程度のお仕事にわざわざ帰ってくるというから、羽生くんの地元愛に対するバイタリティーはすごい。
あれから何度かメッセージのやり取りをするうちに、私たちは自然と友達みたいになった。
年も近いし、何より九尾の不安を時々誰かに聞いて欲しかったみたいだ。
その役目は、私しかできないから。
そして今、なぜか自分の車の中で仙台空港にスタンバっている私。
前回あれだけ運転にケチをつけたくせに、神社に寄ってから実家へ行きたいなんて、どういう風の吹き回しだろう。
しかも、絶対に運転の練習しておけ!というメッセージを最後に、羽生くんからの連絡は途絶えているのだけど…。
「せめて着いたことくらい連絡してくれてもいいのに。」
時間と待ち合わせ場所の指定を受けただけで、あとは一切音沙汰なしだから、本当に来るのか少し不安だ。
普段飛行機なんて乗らないし、こんな夜に到着する便なんてあるのかな。
「まだかなぁ〜。」
約束の時間まで後30分ほどだけど、春とはいえ夜はそれなりに寒い。
缶コーヒーでも買ってくれば良かったなと思いつつ、なんとなく物思いにふける。
結局、お父さんからのアドバイスはあまり参考にならなかったように思う。
羽生くんが私に触れている間は九尾が大人しくなるけど、九尾が出てこなければ私が直接触れることができないから、退治のしようがない。
なんとか至近距離で姿を現してくれたらいいけど…。でもどうすれば九尾を引きずり出せるのか。
毎日そればかり考えてはいるものの、まだ答えは出ない。
「ホログラムのように、羽生くんの身体に手を突っ込めればいいのに。」
無理だけど。
じゃあ思考を変えて、表面上だけじゃなくもっと深く、精神的な部分でふれ合うことができたら、何かしら違った変化が起きるかな…。
あるいは心の奥の奥にいる九尾を、外から攻撃するようなやり方で…。
「……。」
いや、そんなファンタジー小説みたいなことができるはずがない。
見えないものを図るなんて不可能だし、ましてや気持ちなんて、そう簡単にシンクロさせることはできない。
そもそも漠然としすぎて現実味がない上に、説明に困る。
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鹿(プロフ) - 雪菜さん» ありがとうございます!面白いと言っていただけて嬉しいです。怖い話は苦手です^^;今回は心霊とは違うのですが、和風っぽくしたいなと思ってます!^^ (2019年6月17日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - おはようございます、新しい話も面白いです!私は昔から心霊とかそういった話が好きです。本当にあった怖い話という ものがあります。そのなかでも山本まゆりさんの恐怖進行刑(ショックリポート)です面白いので読んで見てください (2019年6月16日 9時) (レス) id: 67e9c24f43 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» 毒ガスが噴き出ているところでしょうか^^調べているときに見たような。あまり九尾ネタが広がらなかったらごめんなさい!今回は短めのお話にしようかなーと、更新早めを目指してます! (2019年6月15日 18時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
心菜(プロフ) - 新作!ありがとうございます。栃木県の那須塩原市に殺傷石と言う所があって、九尾の狐伝説があります。宜しければご参考まで。また楽しみに読ませて頂きます。 (2019年6月14日 21時) (レス) id: 15da2c977a (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 私も調べてみたら、晴明と繋がっていることがわかって、これなら書けるかなーと^^神事とかはもう適当でねつ造ばかりなので、突っ込まないでくださいね〜! (2019年6月14日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年6月10日 16時