占いツクール
検索窓
今日:3 hit、昨日:16 hit、合計:37,089 hit

【SEIMEI】12 ☆ ページ21

「あ…ゆづさん…。」

「ん?」

そんな中、思わず呼び止めたのは、行かないで欲しいのもあるけどもう一つ…。

「背中の羽が…。」

「え、これ?」

ゆづ王子が、羽が見えるように私に背を向けてくれる。

生まれたらすぐにでも見えなくなると思っていたのだけど、まだうっすらとその存在を確認出来ることに気付いたのだ。

「羽がまだ少し見えてるんですけど、触らせてもらってもいいですか…。」

おそらく数日もすれば完全に見えなくなってしまうだろう、私たちを繋ぐ漆黒の翼。
だからたとえ触れられなくても、しっかり目に焼き付けておきたかった。

「いいよ。」

ゆづ王子が深く椅子に腰かけて、私の方に背を向けた羽を一際大きく広げてくれる。

「わぁ…。フリーの最後みたい…。」

「こうやって手を上にするやつね。」

振り付けを再現するように、ばっと手を広げて天を仰ぐ。

「あの演技はもう、何もかもがゆづさんの世界でした…。」

あの、会場が揺れてるんじゃないかと思うほどの大歓声は、今思い出しても鳥肌が立つ。

「あ、アクセル見てくれた?俺ちょう頑張ったんだよ。」

「勿論です、あれは世界一の王さまのジャンプでした。」

魔界の王としての表現にふさわしい、世界で唯一、ゆづ王子だけが跳べるジャンプ。

「じゃあ4T3Aは?」

「ジャンプシークエンスですよね。もちろんかっこ良かったです。」

「え、勉強した?もしかして。」

私がさらっと答えて見せたので、ゆづ王子がきょとんと目を見開いた。

「ジョニーさんと佳菜子さまに色々教えていただいたんです。」

「そーなんだ。」

「7回転半を跳んだのは、ゆづさんと昌磨さまだけで…。」

「俺だって練習では跳んでるもん、3A4T。なんなら4T4Tだって、4T3A3Aだって跳べますぅ。」

口を尖らせながら顔だけこっちに向けて、間髪入れずに負けず嫌いな発言が出る。

「それはぜひ見せていただかなくては。」

「ふふ。期待しててください。」

でも皆知っている。ゆづ王子のスケートは、決してジャンプだけじゃないことを。
ステップもスピンも。全てがゆづさんにしか表現出来ない特別なものなのだ。
伝わって来るものが明らかに違う、別次元のスケート。

ふと、決意するように、羽がばさっと音をたてて羽ばたいた。

それをじっと見つめながら、この長い長い一日に起こった出来事全てに感謝したのだった。







.

【これから】1 ★→←【SEIMEI】11 ☆



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (69 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
103人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

鹿(プロフ) - yuccoちゃんさん» 出産シーンはあまりリアルになり過ぎず、気を付けたのですが^^;羽生さんなら立ち合いそうじゃないですか?いつか本人も、親になってほしいです^^ (6月24日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - りんりさん» ありがとうございました!何度でも読んでください^^私も読みます!とっても長いので、時間のあるときにでも。いつでもお気軽にコメント書いてくださいね!妄想を受け止めてくださり、ありがとうございました! (6月24日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
yuccoちゃん(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても楽しく読ませていただきましたー!やっぱりゆづは王子だよね!(´ー`*)次の作品も楽しみにしています。出産シーンのゆづが駆けつけて来た時の表現にキュンキュンしました!(*´ `) (6月23日 22時) (レス) id: f1f31ef53f (このIDを非表示/違反報告)
りんり(プロフ) - 初めまして。氷の国、ずっと楽しく読ませていただいていました。完結、おめでとうございます^^私ごとながら先日、FOIにて初めて結弦王子を生で見て、もう一度この小説を最初から読みたい気持ちに駆られています。次作も楽しみに読ませていただきますね! (6月23日 17時) (レス) id: 6a04cdba45 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» やっぱりその時その時に羽生さんを投影させていると、楽しいです^^あれもこれもまだ書いてないエピソードもありますが、ちょっと気分転換もいいかなと、ちょっと強引に終わりましたが^^;また何か書ければいいなと思います! (6月13日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:鹿 | 作成日時:2019年5月25日 9時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。