7.砂 ページ8
月山富田城についたはいいが、いつ見てもここは砂だらけ。
走るとなると、砂ぼこりが舞い、深いところでは足が埋まってしまう。
おやっさんはすごい。私を乗せてがんばって走ってくれた。
行くと、尼子十勇士(９人)が迎えてくれた。
鹿之介は見習いだから…。
なにやら今回の晴様失踪には、ある"もの"が残されていたそう。
その"もの"は鹿之介もまだ見ていないようだ。
「こちらです」
尼子十勇士の一人に案内され、晴様が就寝されていたと思われる部屋に入る。
布団の中には、何かがあった。
黄土色で、見たところざらざらしていそう。
砂だ。砂で何かが形作られている。
近づいて行くうちに何の形なのかが判明した。
「はる…さま…？」
見れば誰でも絶句するだろう。
鹿之介も目を見開いて、膝をついてそれを見ていた。
なんと、砂で晴様が作られていた。
晴様がまるでそこにいるようなくらい精巧だ。
本当に晴様はここにいないの？
そんな疑問から、砂に手をのばす。
「……鈴音さんッ！うかつに触ると…」
鹿之介があわてて言うが、指が触れてしまった。
すると晴様の形をしていた砂が私の周りに螺旋状に渦巻く。
「な、なに…？」
砂嵐……？
視界が砂で覆われる。
「鈴音さんッ！」
鹿之介が呼ぶ声がかすかに聞こえる。
それくらい砂が私の周りを巻く。
でも不思議と恐怖は感じない。
「晴様……」
主の名を呼ぶと、砂がだんだん減っていく。
みるみるうちに砂は晴様の形に戻った。
「だっ大丈夫っすかッ！？鈴音さん」
鹿之介が血相を変えて心配してくれていた。
「うん。きっと…大丈夫です。
…この砂、晴様の残したものだよ。何を意味するのかはわからないけれど」
肌でそう感じた。
「やっぱりそうっすよね…。でも、こんなこと今までなかったから…戻って来ないとなったら…どうしたら…」
鹿之介が俯く。
「きっと大丈夫！戻って来ます！お帰りになったらみんなでお花見しよう、ね？」
「…そうっすね。信じて待つしかないっすよね。
………さっきから思ってたんすけど、その巾着なんすか？」
気づくと私の手の上に巾着があった。
「なにこれ…？」
巾着を覗いてみると、砂が入っていた。
もしかしたらこれは、晴様の形見なのかもしれない。
いや、そんなことない。
きっとこれは晴様からのお守りであると信じよう。
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小真紀(プロフ) - 鹿君大好きなので読めて嬉しかったです！これからも更新頑張ってくださいませ！応援してますp(^-^)q (2016年10月8日 21時) (
レス) id: a061b3425d (このIDを非表示/違反報告)
RYURU(プロフ) - 小真紀さん» こちらこそ読んでくださりありがとうございます！鹿君の初々しい感じ大好きですよ〜(*´∇｀*)よろしくお願いします！ (2016年10月8日 21時) (レス) id: a26e725e82 (このIDを非表示/違反報告)
小真紀(プロフ) - イベント参加、まことにありがとうございます！鹿君の小説、いいですね！これからも読ませていただきますのでよろしくお願いいたしますm(__)m (2016年10月8日 20時) (レス) id: a061b3425d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：RYURU | 作成日時：2016年8月5日 14時
