10.出立前日 山中家 ページ11
ーー出立の前日。
私は山中家の屋敷へ訪れた。
「しかのすけーー」
やはり鹿之介は月山富田城にいるのかな。
鹿之介の護衛なのに居場所がわからないなんて…私は本当に落ちこぼれですね。
ひとりため息をついていると、廊下を歩く音が近づいてくる。
「まあ、鈴音様！
この度は甚次郎がお世話になります。晴様を探しに行くなど、そのような重要な役割…甚次郎などが果たせるのでしょうか」
なみ様が顔に手を添えて嘆いていらっしゃる。
「鹿之介なら大丈夫です。おやっさんもいますから。私がついていくことの方が不思議ですよ」
いけない。本音が出てしまった。
するとなみ様はそっと私の手を両手で触れ、優しく撫でてくださった。
「いいえ。貴女はとても強く、美しい力を持っている。それは甚次郎の支えになっているのですよ。だからこれからも甚次郎の側にいてやってくださいな」
なみ様は私の目をしっかり見つめて、私の手をぎゅっと握ってくださった。
これから私たちは旅に出るのだと改めて思い知らされる。
「おお！鈴音殿！」
屋敷から幸高様がひょこっと飛び出してきた。
「明日出立でしたよね。
甚次郎を頼むよ。あいつちゃんとしてると思ったらしてないこと多いからなぁ。本当は俺も行きたいくらいなんですが」
たしかに…鹿之介抜けてることや迷言言うことがあるから…。
でも一番心配しているのはなみ様や幸高様だろう。
かわいい子には旅をさせよ、とは言いますが、やはり送り出すのは不安なのでしょう。
「あの子は誰に似たのでしょう」
「父上ではないですか？なんだか抜けてるところもありますし」
「満幸様？たしかに…。ですが抜けているところがあるのは貴方も同じですよ？甚太郎」
満幸様というのは鹿之介と幸高様のお父様。
満幸様は鹿之介が生まれて一年後程で亡くなったと聞いている。
親子のやりとりは微笑ましいものです。
「今までお世話になりました。長旅になるとは思いますが、私たちはここに晴様と共に帰還できることを願って明日出立いたします。お二方、息災にお過ごしください」
そう言って頭を深く下げる。
顔を上げると、なみ様と幸高様は笑顔で頷かれた。
そうして私は旅の準備をするため、山中家を後にし、風花家の屋敷へと向かった。
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小真紀(プロフ) - 鹿君大好きなので読めて嬉しかったです！これからも更新頑張ってくださいませ！応援してますp(^-^)q (2016年10月8日 21時) (
レス) id: a061b3425d (このIDを非表示/違反報告)
RYURU(プロフ) - 小真紀さん» こちらこそ読んでくださりありがとうございます！鹿君の初々しい感じ大好きですよ〜(*´∇｀*)よろしくお願いします！ (2016年10月8日 21時) (レス) id: a26e725e82 (このIDを非表示/違反報告)
小真紀(プロフ) - イベント参加、まことにありがとうございます！鹿君の小説、いいですね！これからも読ませていただきますのでよろしくお願いいたしますm(__)m (2016年10月8日 20時) (レス) id: a061b3425d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：RYURU | 作成日時：2016年8月5日 14時
