ミルクとスフレと【石川界人】

連絡つかない ページ38

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仕事の休憩中にSNSを開けば、トレンド入りしている「石川界人」の文字を見て思わずタップする。



「…………え？」



タップした瞬間に出てきた写真や文字情報に、声が出てしまって、はっとする。だめだ、仕事中だ。そんなことを思ったって、動悸は早くなるばかりで。

ぎゅっとスマホを握りしめて、画面を閉じれば、すぐに明るくなって震えだす。……界人から電話だ。何を言われるんだろうか、なんて考えてしまえば、思考はどんどん悪い方に転がって。

呼ばれたタイミングをいいことに、震え続けるスマホを鞄にしまって、ブースに入った。




「……ほしちゃん、」

『…っ、わ、岡本さん』



収録も終わりが見えてきて休憩時間。今日の現場が重なっていた岡本さんに声をかけられる。



「……出ないの？」

『あはは、何、言われるんでしょうね、？』

「電話出てくれないって俺のとこ、連絡来たよ」

『あ、ごめんなさい、』

「いや、いいけどね？落ち着いたらちゃんと話してあげてね、？」

『………はい、』

「界人くん、ちゃんと話したいんだと思うし、俺からより直接聞いた方がいいと思うから」

『岡本さん、界人から聞いたんですか？』

「さっきその、繋がらないって言われた時にちょっとね」

『……そうです、か、』

「もう、そんな顔しないの！信じてあげてよ、界人くんのこと」

『…………はい、』



岡本さんが立ち去るのを横目に、また震え出した何十回目か分からない着信をそのままにして、私も立ち上がった。

今日だけ、今日だけだから、気持ちを落ち着かせさせて欲しい、なんて心の中で界人に謝りながら。






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