ミルクとスフレと【石川界人】

計画の実行 ページ23

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花火が見たいと発言してから数週間。タイミングも良く2人とも夜には仕事が終わって、ベランダから花火が見えるらしい界人の家にお邪魔している。

ベランダに出て柵に寄りかかって、暗くなった空を見上げていれば、後ろから声をかけられた。



「A？まだ早いんじゃない？」

『うーん、そうかも』

「暑くない？」

『大丈夫』

「はい、Aの」

『お、やったー。ありがと』



暑いじゃん、なんて言いながらも、クーラーが効いた部屋から出て私の隣に来てくれる彼は優しい、なんて。缶を2つ持って、1つを私に渡す。お気に入りのレモンのやつ。



『ほんと好きだね？ハイボール』

「これしか飲まない俺〜」

『ちょーだい』

「ん？これ？どーぞ」

『……ん、ハイボールだ』

「え？(笑)ハイボールだってば」

『へへ、楽しみだねえ』

「なに(笑)もう酔ってんの？」

『酔ってませんー』

「………よかったね、今日2人ともこの時間いれて」

『ね、』



あと数分できっと花火が、打ち上がりそうな時間。そっと隣にある腕に頭を預けて。お互い何も言わないけれど、この時間が心地いい。

半分外の空間で僅かな風を感じて、ゆっくりと目を閉じれば、唇に触れる感触。びっくりして目を開けば、少し笑った界人。



「はじまるよ」

『へへ、はあい』






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