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追憶の姫君 ページ10

君と出会ったのは小学校低学年の時だった。


その頃から俺は黒崎家の跡取り息子としての教育を受けてきた。

その教育というのが中々に厳しくて、勉強は勿論、運動もその他諸々も常にトップであれ、という内容であった。

自分が将来黒崎家の当主になることは周りからうんざりするほど聞かされていたのでそのことに特に抵抗は無く、トップでいるために努力を重ね続けた。


ただ、息苦しいと感じることはあった。


家に帰ると家庭教師による勉強かピアノやヴァイオリンなどの稽古に明け暮れ、まぁそのお陰で今の俺があるかと思うとなんとも言えないが、とにかく多忙な日々に息がつまりそうになった。


そしてふと願ってしまったのだ。「普通の人がするようなことをしてみたい」と。

俺と同じ年代の子供は、公園でよく遊ぶらしい。この位の歳の子供が主人公の本によくそのような描写があったので勝手にそう決めつけた。

しかし俺の通っていた学校は私立なので、周りもそこそこに金持ちなので、俺と同じく公園などと縁もない奴ばかりだった。

だから一人で行くことにした。親が許してくれるとは到底思えないので誰にも内緒で。

1回行けば満足すると思った。そしたらまたいつもの日常に戻ろう、そう自分に約束をした。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

運転手に放課後学校の図書室に寄りたいからいつもより遅くなる、と言っておいた。ここの図書室は他の所より設備が整っているからか、習い事の時間に遅れないようにお願いします、としか言われなかった。


そうして俺は正門に運転手が待っているため裏門からこっそりと学校を抜け出した。

場所は分かる。いつも通学路で通るところにある小さな公園。まぁ窓越しに見ていただけだけど。


足をどんどん進めていくとやがて目的の場所が見えてきた。今まで何度も見たことはあるが実際に入ったのは初めてで興奮したのだろう、そこにあるサビがついた遊具までもがキラキラと光っているように見えた。

よし、時間は限られている、早く遊んで帰ろう。

そう思ってブランコの手すりに捕まった時だ。


「…ん?」


ブランコの奥に、俺に背を向けるようにして蹲っている子がいた。

今は俺しかいないと思っていたがどうやら先客がいたらしい。

その子は何やら草花が描かれた大きな図鑑を持っているようだった。

図鑑が読みたいなら図書室で読めばいいのに、変なのって思った。


ーーこれが、俺とAとの出会い。

◆→←◆



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時雨(プロフ) - ぽんずさん» コメント&通知登録ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです、これからも頑張りますね! (7月15日 21時) (レス) id: 27a105a2bf (このIDを非表示/違反報告)
ぽんず(プロフ) - 読み応えある。通知登録しました!更新楽しみにしてます! (7月12日 10時) (レス) id: 98acc9f874 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - さくさん» わっありがとうございます〜!!嬉しいです、頑張ります!! (6月7日 20時) (レス) id: 9626d45726 (このIDを非表示/違反報告)
さく - この作品好きです!更新楽しみに待ってます…! (6月6日 16時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - 彼方一ノ瀬さん» わぁ!ありがとうございますー!嬉しいです頑張りますねー!!よろしければこれからも読んでやってください!! (4月30日 15時) (レス) id: 54c8766224 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:時雨 | 作者ホームページ:***  
作成日時:2018年11月8日 0時

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