◆ ページ9
「確かに、そこが少し引っかかるわー。
でもお前あれやろ、録音機は取られたんやろ？」
「す、すみません…」
自分の責任とはいえ、耳が痛い…。
「まぁ取られたもんはどうしようもないし、それについてはまた後で考えるとして…。
仮にAが遭遇した男がアイツらの仲間やなかったとしても、俺らの味方でもないことは確かやな、念の為そっちの方も調べてみるわ」
「本当にすみません…よろしくお願いします」
基本的に私はセンラさんと二人で仕事を行うことが多いが、私は実行役がほとんどで、情報集めや潜入捜査を行う上で必要な情報の偽装などは全てセンラさんが担当していて、正直言ってそっち関連で私が手伝えることなど何も無い。
元々は私のせいなのに…。
申し訳なさすぎて思わず俯いてしまうと、ぽん、と頭の上に温もりが降ってきた。センラさんの、手だ。
驚いて彼の方へと顔を上げると、彼は蜂蜜色の瞳を細めて、ニヤッと笑った。
「まーまーそんな落ち込まんとって。過ぎたことを後悔し続けても仕方ないやろ？お前は普段から俺の隣でよう頑張ってるよ。
やから、今日はこのままアジトに戻るからそっちで俺が居眠りこかないようにコーヒー入れてて？」
頼むで、A？
そう言うと、センラさんは手をハンドルへと戻した。
…やっぱり、センラさんは素敵だ。
任務に失敗した私をこうして励ましてくれて、さりげなく私の気持ちを軽くしてくれる。
たとえ夜の世界の住人だとしても、それでも、『あの頃と変わらず』彼は優しい。
『…なんやねん、お前。行くとこないんか？』
今から10年以上も前の彼の姿をふいに思い出す。まだ少年なのに、彼の瞳はこの世を達観していて、どこか冷たさのある、そんな瞳。
それでも、『あの時』私のことを助けてくれたのはセンラさんだった。
(本当に感謝しているんですよ、センラさん。だから、これから先もずっと隣で貴方のことを支えさせてください)
「…はい、勿論です」
私はセンラさんへの気持ちを胸の中に押し込めながら、そう言った。
そして、二人を乗せた車は静かに夜の闇へと吸い込まれていった。
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時雨(プロフ) - なんさん» コメントありがとうございます！これからも何卒お付き合い頂けますと幸いです🙇♀️ (12月18日 10時) (
レス) id: b85bf6c9d0 (このIDを非表示/違反報告)
なん(プロフ) - 更新めちゃくちゃ嬉しいです！作者さんのペースで更新頑張ってください！ (12月17日 23時) (レス) @page48 id: 490d5409aa (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - FAMIRAさん» コメントありがとうございます！頑張りますのでこれからも何卒よろしくお願い致します😭😭😭 (2022年10月31日 22時) (レス) id: b85bf6c9d0 (このIDを非表示/違反報告)
FAMIRA - すごく面白いです！(๑>◡<๑)更新、ファイト！です！٩( 'ω' )و (2022年9月8日 17時) (レス) @page40 id: 58cb53495b (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - Yuさん» コメントありがとうございます！わわわ丁寧に褒めて頂けて恐縮です泣 これからもお読みいただけますと幸いです…！ (2021年10月22日 18時) (レス) @page23 id: 27a105a2bf (このIDを非表示/違反報告)
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