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終:貴方と愛を ページ45

あ「……」


Aは少し唖然としてギンを見つめたあと、ふっと笑った。


あ「どういたしまして!」


Aはわざと、くしゃくしゃと荒っぽくギンの頭を撫でた。


ギ「あっ!な…何やの!やめえ…!」


Aが手を離すと、銀色の髪は整えずともするすると元に戻っていく。


あ「…お礼なら私だって。ギンが私に、変わるチャンスをくれたから。…ありがと。」


ギンをしっかり見据えてそう言うと、ギンは静かに口元を緩めた。

お互いに無言のまま見つめあっていると、巨木の幹の向こう側でより一層大きな歓声が聞こえた。


あ「…一角たちかな…?」


その騒ぎに気を取られてAがよそ見をすると、それを制するかのようにギンがAの頬に手を添えた。

再びギンと目と目が合う。


あ「…ギン?」


先程とは違って、ギンは空色の瞳を覗かせこちらを愛おしげに見ていた。


あ「っ…」


その瞳を見て、Aは小さく息を飲んだ。

クイッと僅かに顎が持ち上げられる。



二人はどちらからともなく、引き寄せられるように唇を重ねた。



しばらくして離れると、そのままギンはAを強く抱き締めた。

Aの真っ赤な耳がすぐ下に見えると、気分を良くしたのかニッと口角を上げる。




ギ「なァ、A。」


あ「なっ…なに?(汗」




その時突然、ザァッ‼︎ と強い風が吹いた。


あ「ぅわっ!?」



Aは強い追い風に、思わずギンにしがみついた。大きく垂れたしだれ桜の花弁が二人を囲んで揺れている。
花と花が擦れる音が、一角たちの声など気にならなくなるほどに大きく鳴り響く。


ギ「…」



ギンは無言のままスッと自分の顔をAの耳元に寄せた。

そして、声を潜めて、まるで独り言のようにポツリとつぶやいた。









“ 愛しとる ”









淡い桃色の世界で二人は少し照れたように微笑みながら、お互いの温もりを確かめるかのようにいつまでも抱きしめあっていた。



終.

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設定タグ:BLEACH , ブリーチ , 市丸ギン   
作品ジャンル:アニメ
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- 一言しか言えねぇ……しんどかったです (2018年9月12日 16時) (レス) id: cfb4ebe7f4 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - 感動しました!!ギン素敵です。この作品大好きです(*´˘`*) (2017年9月13日 22時) (レス) id: f1cdc6bf1b (このIDを非表示/違反報告)
あかねっち - めっちゃくちゃ感動しました!(;_;)ギンかっこよすぎます!!また作者様の書くギンの小説読みたいです!!!! (2017年2月14日 1時) (レス) id: 7d3b3da003 (このIDを非表示/違反報告)
K&T(プロフ) - めっちゃ感動しました!号泣しました! (2017年2月4日 18時) (レス) id: 8b3fcbbfb9 (このIDを非表示/違反報告)
花音 - めっちゃ号泣しました(泣) (2016年8月15日 20時) (レス) id: 4e104a5374 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わっふる | 作成日時:2014年6月11日 13時

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