45 entertainer ページ46
Aside
特等席…ステージにとっても近い。
綺麗…眩しい…。
私の目の奥にしっかりと届くその姿。
二人は観客に向けて美声を響かせていた。
『…次の曲が最後になるね』
『オレらとお客さんと…そしてオレらを影で支えてくれていた一人の唯一無二な存在…』
最後の曲に行くはずが急に二人がトークをし始めた。
ジュンはそう言うと、私の方を見てウインクをした。
私の周りにいる人たちが叫ぶがこれは私に送られていると分かった。
こんなのリハーサルでは一切聞いていない。
どういうことだ、混乱しつつも私はステージ上を見入っていた。
『そう、その唯一無二な存在がぼくたちを強くしてくれたんだね』
『いま、ここにいる人たちに紹介して見せびらかしてやりたいくらいっすよ…それくらい、貴方のことを誇りに思っているんですよぉ…』
…敢えてのことだ。
敢えて、私をステージに上げようとしない。
敢えて、彼女などと言わずに女であることを明かさない。
観客と私のことを考えてくれている。
私がステージに立つと観客も騒然、夢ノ咲の生徒であることがより叩かれるであろう。
『ちゃんとオレたちから目を離さないでいてくださいねぇ!』
『うんうん、ぼくたちを成長させてくれた大きな存在に感謝し、ぼくたちはきみたちに最高の歌をこれからも届け続けることを誓うねっ!!』
自然と涙が零れるのは可笑しくはない。
二人こそ、私を成長させてくれたのに…。
じんわりと温まった心が高鳴っていくのが分かる。
…ライブの高揚感にずっと浸っていたいだなんて。
二人に出会う前には思わなかったことを思うようになった。
アイドルがいかに素晴らしいものであることも二人が教えてくれたのだ。
このライブはもう終わる。
最後の曲は涙を拭き取って、四人の姿を鮮明に収めた。
この瞬間をちゃんと大事にしたい。
二人から溢れる笑顔で自分も笑顔になっていく。
笑って歌って踊って…。
私たちはこれからも成長していくのだろう。
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ふわむにゃ(プロフ) - ゆゆさん» 恐縮です…!有難うございます…(T_T) (2019年4月25日 18時) (レス) id: af6be9856c (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - めっちゃ面白かったです!おひぃさん好きなのですごく嬉しかったです!これからも頑張ってくださいね! (2019年4月22日 20時) (レス) id: 7a65a72ca7 (このIDを非表示/違反報告)
ふわむにゃ(プロフ) - ゆぅあ(o・ω・o)さん» 有難うございます…!更新頑張りたいと思います。(^^ゞ (2019年2月9日 22時) (レス) id: af6be9856c (このIDを非表示/違反報告)
ゆぅあ(o・ω・o)(プロフ) - 頑張ってください! (2019年2月9日 21時) (レス) id: e4352aec9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふわむにゃ | 作成日時:2019年1月27日 1時