飴の話 ページ8
その後の話は以下の通り。
火神は師匠に自分達が遊んでいた場所が如何に危険だったかを仲間に話した。
始めは言い過ぎだろうと感じたが、師匠はその場所へ赴き、確かに人気のある方からは死角となっていることを後に学校へ連絡した。
その数日後、その場所から路地裏へと続く道沿いの建物には犯罪組織が潜んでいると公表され、警察から取り締まられる。
行方不明となっていた児童は前日にそのバスケコートで遊んでおり、その犯罪組織が拠点としていた場所から発見されたとのこと。
火神たちのいる学校、その周囲の学校ではその場所には二度と立ち入らないようにとキツく言われた。
だが火神は未だに、彼女と出会った時に掛けられた言葉が脳裏によぎった。
《私が怪我したら、こいつのせいか？》
彼はまだ自分の不注意のせいで怪我させそうになったことの許しを得ていない。
次あったら、ちゃんと言おう。
それからは、ちゃんと人気のある場所でバスケを行うようになった。
上級生がいる場合は、上級生に混じってバスケをし、そしてバスケをする場所は事前に自分で調べたりなどしていた。
「お前に謝りたかった」
場面は変わり、街灯が照らす道を歩きながら昔の思い出をよぎらせていた。
「師匠も、アイツも、お前に謝りたいって。あの時は俺の不注意でお前を傷つけてそうになった。すまねぇ」
「それは何に対する謝罪だ？」
「俺の不注意で、お前を傷つけそうになった。その謝罪だ」
「そうか、あの時の赦しを今に乞うか。お前も意外と根に持つの」
口元を隠し、喉をくっくと鳴らして苦笑する。
あの時の彼女は大人だと思っていたが、実際には火神とは一歳年上であることに気付いたのはさっきの事だ。
火神は自分と同じ学校の制服に袖を通して、杖をつけて通っている彼女を心配そうに見下ろした。
「普段、どう過ごしてんだ？」
「そうじゃのう……。気ままに暮らしておる」
「違ぇよ。学校だよ、学校！そのままで行ってるなら、俺が朝から迎えに行く」
「よい。それだけはマジ勘弁。それに、私はこの姿故…他の者も驚くだろう。私はただ見てるだけでよい。それに私は、放課後いつもあの場所で見ておる。常にとは言わんが……たまの話し相手にでもなっておくれ」
「一つ聞きたいことがある」
「なんだ？」
「お前、なんで日本にいるんだ？」
「ふふ、何故だと思う？」
また笑みを浮かべては、はぐらかされる。
そういう態度に、やきもきする火神だった。
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作者名：ほんばし | 作成日時：2022年5月6日 16時
