プールへ凸する話 ページ49
「そういえば麗白さんにお願いがあります！」
「ほう、勿体ぶらず話せ」
「連絡先、交換してくれますか？」
「却下だ。出会ったばかりの奴に、連絡先など知らせとうない」
缶コーヒーの缶の中身を確認して、飲み干したことを確認すると缶をバキバキといとも容易く潰した。
桃井はその様子を見て、彼女が怒っているのではと顔色を窺ってしまった。
「ああ、怖がらせてすまぬ。缶コーヒーを飲んだ後は潰したくなるんじゃ。決して怒ってるわけではない」
だが牽制の意味では握り潰した。
その様子に桃井は目を輝かせる。
「凄いですね。あの缶コーヒー、けっこう強度はあるはずなのですが……」
「まあの。空き缶を潰していれば、力の入れ方も分かる。猿でも出来る芸当じゃ」
「それじゃあ次はぜっーたいに連絡先は知りますからね？覚悟していてください！」
「楽しみにせず待っておる。ちなみにアドレスを勝手に知れば、私はアドレスを変えるぞ」
「うっ……わかってます！」
そう言って桃井は行ってしまった。
行き先は恐らくプールにいるバスケ部のところ。
黒子のことを知っているのであれば、自然と頭に浮かぶのは彼女はバスケ部のマネージャーであること。
しかも推測の域で「黒子の彼女」という単語に反論も見せなかったので自然と『キセキの世代』を担当していたのが分かる。
問題は、彼女の情報収集は何処まで自分のことを掴んでいるのかということだ。
流石に家族構成や家族関係は握られていないと思うが、バスケ観戦で目立っているのであれば多少の情報は漏洩していると見立てるべきか。
麗白はそうして少し悩んで、流石にバスケの試合を観戦の際は私服で着ているので誠凛の生徒とは分からないとは思うが、関係者だとは思われてるだろう。
「さて……仕事仕事」
彼女がパソコンを開く。
その中に書かれてる内容はこうだ。
【『キセキの世代』及び『日本のバスケの現状について』】
内容はあまりにも陳腐であるが、その中に今日起こった出来事を日記のように記して送る。
そのレポートは一日ごとに要求され、必要とあらば何通もするのが当たり前と化している。
そしてメールがピコンっと反応する。
『あくしろ』
それに対して返信を送る。
「きょうだいの中であっても、せめてまともな字を書け。動画用語を出すな。兄様でないものがメールを送るな」
と送り返した。
ちなみにこの文面はその通りで、まったく違う人が送っていたのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 20人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ほんばし | 作成日時：2022年5月6日 16時
