秀徳vs誠凛の話 ページ39
秀徳と誠凛の試合が始まる。
その前半戦に、黒子の存在感が攻略されたこと。
秀徳にいる緑間にパスを回す黒髪の男が黒子の動きを制限した。
笠松たちが、なにかしら黒子を誉めていたが彼女は特に気にも留めてなかった。
黒子はその判断力と度胸が凄まじい。
彼女もそこは評価していた。
「あんな細腕で、なぜスリーが打てるのかが未だに分からない。あんな軌道を描くのなら、天井に当たりそうなものじゃが…」
「緑間っちは頭良いんスよ。だから計算済みッス」
「バスケットボールは重いんじゃぞ？尚更、その疑問が『頭が良いから』で解決されては、この世界の物理法則が歪んでいるのが証明されてしまうではないか」
「メタい発言ッス…」
黄瀬も麗白もそれ以上は言わなかった。
緑間だからできること、そう片付ける他なかった。
気にはしたものの、追求すれば緑間でさえ言葉を詰まらせるような超理論のシュートは確かに段違いの強さを誇っている。
休憩時間を挟んで、第３Ｑが始まった。
次第に、火神のブロックが効き始めていくのに対して緑間がリングにボールを当てるようになった。
「おお、火神がまた一段と高くなっておる。足に筋力がつき始めておるのう」
そして、とうとう緑間のスリーが外れた。
だが秀徳の大柄な選手がゴールへ入れる。
そこからは怒涛の展開だ。
徐々に緑間のスリーは封殺されていき、誠凛は秀徳と開いていた点差を追い詰めることが出来た。
そして、第３Ｑ終了後は誠凛のベンチで何かしら揉めてる様子が伺えた。
「阿呆だな。頭に血が昇って正常な判断ができておらぬ」
「はあ？なにやってんスか…！」
「おや、黒子が止めたのう」
「黒子っちぃ…相変わらず強いッス」
だが喧嘩も直ぐに収まる。
試合の流れは全体的に見れば順調そのもの。
黒子が出していたパスより、もっとも早いパスを繰り出してダンクを決めた。
そして双方激しい争いの末、緑間が最後のスリーを決めようとしていた時に起こる。
火神が限界突破して、飛んだ矢先。
緑間は深く沈んでスリーを打てる最高の体制に入った。
「信じてました。火神くんが飛べると」
黒子が背後からボールを叩く。
「そして、それを信じた緑間くんがもう一度ボールを下げると」
試合終了のブザービーターが響く。
誠凛と秀徳の試合は、誠凛の勝ちという形で幕を下ろした。
外はひどい雨が降っており、灰色の雨雲が空を覆い尽くしていた、
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作者名：ほんばし | 作成日時：2022年5月6日 16時
