白髪の話 ページ29
「じゃあその白髪は生まれつきじゃないんスか？」
「……元々は黒髪じゃ。目は紫じゃったが。流石に生まれつきの白髪はアルビノ以外ないじゃろう」
「アル…ビノ？」
「理科で習うじゃろう」
「そーなんスか！？」
説明するのが面倒になって海常の理科の講師にすべて丸投げした。
アルビノはこのサイトでもよく載ってるので、読者の皆さんも分かると思うが彼女はアルビノではない。
にも関わらず彼女の髪色は白髪だった。
「……まあ、私の話を聞いてもつまらぬじゃろうて。とりあえず、なぜ黄色いのが黒子を誘拐したのかの真意を尋ねようぞ」
「誘拐してねーっス。しかも俺には黄瀬涼太ってゆー名前があるんで、そっちを言ってくださいッス」
「知らん。覚えなくてもよい名前じゃ。私が黄色いのがお主だと分かればそれでよい」
なんとも自分本位な理由に黄瀬は納得しなかった。
名前を呼んでもらおうと躍起になるが、なんとも似た者同士である。
ただ、それが彼女の場合がどういう基準で名前を呼ぶのか全く分からない点を除くと。
「僕のことは名前で呼んだのに、黄瀬君の名前は呼んであげないのですね」
「諦めろ。こいつも中々面倒臭ぇぞ」
「なんとひどい事を言うのじゃ、しくしく……」
すると彼女は立ち止まった。
彼女は一番後ろから着いてきていたので、止まっても誰も気に留めることはなかった。
背後からの足音がしなくなったと黒子が不審に思って振り返ると彼女はきょろきょろと辺りを見渡した。
「何か探し物ですか？」
「おや気づいたのかえ。少し休める場所はないかとな。先ほどの公園のベンチで座ろうかと」
「黄瀬君、この辺で休める場所って知ってますか？」
「すぐそこにカフェがあるッスけど……」
「ではその
「えっ、良いんスか？」
「後輩３人を奢るくらい造作もない。お前は場所を教えてくれたのでな。ほれ、行こう」
携帯電話を取り出すと、リコに連絡した。
リコからは電話越しで逆ギレをされたが、暫くすると呆れたようにため息をして「黒子君に代わって」と一言。
黒子に事情の説明、そして代わると黒子は青ざめた顔で静かに返事をしてから携帯を返した。
「では行こうか。ちょうど甘いものが食べたいと思ってな」
「………さっきステーキ食べたばかりですよね？」
「おや、知らぬのか？おやつは別腹じゃよ」
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作者名：ほんばし | 作成日時：2022年5月6日 16時
