不幸の話 ページ27
目には目を、歯に歯を。
それがバスケを超える範疇であれば、無論彼女は手出しはしなかった。
だがそれ以上の領域に至ったことで、彼女は杖を取り出して巧みに足へと突き差したのだった。
「いってぇ！」
足を上で突かれたので男は突いた本人を垣間見る。
「おや、すまんの。見えておらなんだ」
「んだとこの
「童、お腹は無事かえ？」
不良を無視して、倒れた男子学生の服の埃を払う。
「無視すんじゃねぇよ！！」
男の鉄拳が下されそうになった。
だがその鉄拳は振り下ろされなかった。
拳が彼女に直撃する前に、拳に当たらないように避けて彼女が男に拳を入れたのだった。
入った拳は思いの外入り、男はお腹を抑える。
「どうしたのじゃ。腹痛になったのかえ？」
「……っ、テメェ……」
「男の子じゃろう？こんなことで泣いては男が廃るぞ？」
「泣いてねぇ……っつーかさ、テメェも暴力使ってんじゃん。暴力はんたーい……。ほらぁ、ここはさ、バスケで白黒付けようぜ？」
「おや、自慢の拳はもう打たないのか？」
「だぁーかぁーらぁー。俺たちはさ、暴力なんて物騒なもん使うわけねぇーじゃん。はんたーい。勝負は互いにさ、最初に得点取ったやつが勝利、ってことでどう？」
「吠えるな、負け犬。貴様らに勝負を定義する権限などない」
「いいえ、バスケで勝負しましょう」
がしりと肩を掴んだのは黒子。
喧嘩っ早い彼女が更に不良たちを煽り散らしたのを見てられず、黒子はその勝負を引き受けた。
「麗白さん。暴力はいけません」
「何故じゃ？」
「ここは、ストリートバスケです。バスケで勝負することが公平な勝負となります」
「じゃが痛みで分からせれば」
「ダメです」
「…どうしてもか？」
「はい」
黒子の鉄の心に挫け、彼女はため息を吐いた。
「しょうがないのう。しばしならば動ける。手伝うぞ黒子」
「ダメです」
「即答するな」
「あのー、俺らも混ざって良いッスか？」
「黒子はいいとして、スノウはダメだ。引っ込んでろ」
そう言って彼女の頭に上着を乗せる。
あからさまに、荷物持ちをさせてる辺り火神は彼女の扱いを分かっているようだった。
「はあ……せっかく動けるチャンスだったのにのう」
「激しい運動は控えろって言われてんだろ。だったらダメだ」
火神の言うことに一理あり。
彼女は大人しく荷物持ちをさせられた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 20人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ほんばし | 作成日時：2022年5月6日 16時
