2年生の話 ページ16
相田リコは昼休み、とある教室へと向かっていた。
人気はあるものの人が近寄らなさそうな教室。
その一角に、彼女はこんこんとノックをしてから入る。
「やっほー。元気してる雪」
「おお。リコか」
その来訪に満足気な顔をして迎える彼女に対して小言を言った。
「ノックは2回じゃない。3回じゃ。2回はトイレのするノックじゃ。此処はトイレじゃないぞ」
「ごめんって。小さいことを気にしすぎよ」
「年寄りは言うことは聞かんかい。それより、なぜ此処へ来たのだ?今日の朝の宣言は、随分と叱られたようじゃの。反省文か?」
「そーなの。あんの頭の固い先生たちがねー。反省文書かないといけないってさ」
「くふふ。バスケが無いから此処へ来たというのに。バスケ部が発足してお主らを見るようになってからは、随分と通うようになってしまったの」
「ま、そんな話は置いといて………今日、一緒に着いてきて欲しい場所があるの。着いてきて、おねがい!」
「……ふふ、また楽しいことかえ?」
「そう、とっても楽しいことよ!」
「お主のその太々しさ、評価に値する。着いて行こう。私はただ、見守るだけだからな」
「もっちろん!」
可愛らしくパチンとウインクをした相田に、麗白はやはりニコリと笑うのみだった。
そうした教室の一角で恐ろしい密談が行われていた。
そんな事を露とも知らず、バスケ部選手たちは昼休みをのうのうと過ごしていたのだった。
それから、数日が経ったある日。
「……おや、人が多いのう」
放課後になって体育館へ寄ろうとした矢先、女子たちの群れがあった。
流石にこれでは入れないと困った様子で人気が無くなるまで身を潜めることにした。
今回、彼女はくだらない会話をしたのちに自分の課題をやり終わった後だった。
すこし手こずってしまい、行く時間が遅れてしまったのだが、放課後に人気が無くなるどころか賑わいを増していた。
ようやく人が居なくなる頃には、少し時間が経っており、眠たくなりそうで持ってきていたパソコンでRPGゲームをしていた。
「しもうた。人気はなくなっていたな」
賑わいは消え、聞こえるのはバッシュが床を擦る高い音とボールがの弾む音のみ。
それと声と声とのぶつかり合い、中に入ると事の発端が誰なのかが明るみとなった。
『キセキの世代』そのうちの一角。
黄瀬涼太の姿がそこにあったのだ。
20人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ほんばし | 作成日時:2022年5月6日 16時