スノウ・ホワイトの話 ページ15
「スノウさんは、どうしてあんな勿体ぶった話をされるんですか?」
「知るかよ。アイツはバスケに関しちゃ見てるだけで良いっつーんだ。俺もアメリカに居た頃は何度か話したけど、アイツの方が日本に来るのが早くてな。俺もスノウのことはよくわからねぇ」
「不思議な方なんですね」
「眼帯に杖、それに白髪。あいつを不思議に思わない奴はいねーよ」
「おや、私の話をしてるのかい?」
一つ間を置いて、肩を震わせる2人に彼女『スノウ』は盛大に笑った。
「私の噂話をするとはな。火神、もう少し気をつけた方がよいぞ?」
「だからって、急にビビらせることはないだろ!」
「黒子。隣に座ってもよいか?」
「いいですよ。どうぞ」
火神はこれを疑った。
彼女はただでさえ容姿が目立つ。
そんな人がここに現れるのは何かしらあるなと感じ取れる。
彼の野生の勘がそう囁いた。
「ふう……少し休憩を取れば疲れは取れる。じゃが、赤の他人に私の名を教えるとは、誰が許可をとってやっておる?」
火神を静かに見つめてほくそ笑む麗白。
笑っているが目が笑っていない。
「す、すまねぇ…」
「火神くんが悪いわけではありません。僕が教えてほしいと言ったんです」
「……くふふ、分かっておる。じゃが、私の名はあまり知られたくないのでのう。私はこれでも在校生には存在も知られてはおらん。じゃから、あまり先生に私のことを尋ねる出ないぞ?」
「それから…」と彼女は続けた。
「私は、此処ではスノウ・ホワイトではない。
黒子がふと考える。
「そのままですね」
「名前なんぞそういうものじゃ」
紙に書いて見せると、二人は名前を見てギョッとした。
「麗白……。これで『ましろ』ってゆーのか…?」
「当て字に決まっておろう。私が考えた名前じゃ。文句あるのかえ?」
「いや、ねーけど…」
スノウ・ホワイト…もとい
「……あまりこの人のペースに乗せられては駄目な気がしてきました」
「俺も……」
「ようやっと気付いたか。年寄りの戯言など、聞き流す程度でよい。これからよろしく頼むのう、火神、黒子」
若い人を揶揄う老人ってこんな悪戯を企むような顔をしてるのだな、と2人はひしひしと感じとれたのだった。
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作者名:ほんばし | 作成日時:2022年5月6日 16時