自己紹介の話 ページ14
部活の終了後、彼女は家へ帰ろうとしていた。
リュックを背負って立ち上がり、帰ろうとしたところで再び呼び止められる。
「こんばんは」
「こんばんは。幻の
「やはり知っていたんですね」
「もちろん。火神がこっちに来る前に、私はこっちへ来たからのう。お前たちの噂は聞いておる」
「キセキの世代……その全てを知っているのですね」
「もちろん」
「……バスケが好きなんですか?」
「ちっとも。私は見ている方が好きなのじゃ。シュートとディフェンス以外分からぬ」
「嫌いなんですか?」
「さあな。好きでもなければ嫌いでもない。はっきりとさせたいのか?」
「いえ、ただ貴女は何故こうして夜遅くまでバスケを見ているのかと思いました」
「秘密じゃよ。ただの私の気まぐれやもしれぬかもな…」
面白がって隠す彼女に黒子は何とも言えない表情を浮かべる。
しかし、浮かべた顔は何を思っているのかは分からない。
「一つ言うならば、私は敵でも無ければ味方でもない。ゆえにお前たちの力にはなれん」
「……わかりました。お身体に気をつけてくださいね」
「あい分かった。お主もひょろひょろだから、風邪を引かぬようにな」
「一言余計です」
その言葉に不服と感じた黒子はムッとした様子で彼女を見上げる。
その様子に彼女は「愛いの」と思うと、それを察したのか黒子はますます黒い顔になって彼女を再び見上げた。
「今、変なこと考えませんでしたか?」
「何のことか分からぬのう」
手を振りながら杖を付いて去っていく彼女の後ろ姿を見送りながら黒子ははっとあることを思い出した。
「……そういえば、あの人の名前は……」
だが黒子には聞く当てがあった。
それは、意図せずマジバーガーにてバニラシェイクを頼み席についたときに偶然にもその人物と出会うこととなる。
ハンバーガーを渡され、自分のことを少し認めたと不慣れな様子で言う彼の姿に黒子はあることを切り出した。
「火神くんは、あの真っ白な人の名前を知ってますか?」
「あれ、お前知らねーのか?」
「知らないどころか、校内であんな人見たことがありません」
「……たしかそう言ってたな。アイツは『スノウ』アメリカにいた頃に一度世話になった」
「スノウ……スノウさんですか」
「名前はスノウ・ホワイト。アメリカは医療が進んでるから、数ヶ月の間をそこで過ごしてたらしい」
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作者名:ほんばし | 作成日時:2022年5月6日 16時