帰宅の話 ページ12
「火神、お主は一つ勘違いをしている」
1on1が終わり、火神は彼女と共に帰路へついていた。
黒子は帰り道が別方向だが、自分も送ると言った。
だが彼女は今の火神と黒子を共に帰らせるとぎすぎすとした雰囲気になって帰りづらくなると踏んで断った。
「あっ、何がだ？」
「あやつは選手としてお前に勝るものは何一つない。だが、弱いなりに無臭であるのならば、それは果たして本当に弱者なのか？」
「何が言いてぇんだよ？」
「能ある鷹は爪を隠す。今回、お主は薄いのの実力を知った。今後はそう思い込みながら生きるだろう。だがそれが
「……実力以上に何かアイツが隠してあることがあんのか？」
「油断は禁物。ふふ、近々面白いものが見れそうじゃ」
その言葉に乗せられるうきうきとした高揚感。
彼女はわくわく、心の昂りを言葉に乗せる。
火神は彼女は楽しそうにしているのが分かりやすく感じ取れた。
「つーか、お前『キセキの世代』知ってるだろ？」
「無論じゃ。私が日本へ来たのは中学二年生の頃。『キセキの世代』が発足した当初じゃよ」
「知ってんなら教えろよな…」
「イヤじゃ。楽しみは後に取っておくものだ。お主に教える義理などなかろう」
「はあ？教える義理が無いだと…」
「教えてほしいならば、それなりの対価を払え。それならば話は別じゃ。お主は私に何が払える？」
「……今後、俺がテメェの帰りに同行する。これでどうだ？」
「頭が回るヤツよのう。別に私が頼んだわけではない」
「ぐっ……あーーっもういいよ。なんとかしてお前から聞き出そうとした俺がバカだった」
「それでよい。さて、ここまでだ。リュックを返しておくれ。先ほどの取引はナシとなった。お前が私に施すという義理は無い。良い荷物持ちであったぞ」
なんの悪びれもなくそういう彼女に火神は反論しようとした。
だが、それを産むを言わさず彼女はこう告げる。
「主らの活躍には期待しておる。ではな」
確固として彼女は反論を許さず、火神にそう言い放って去る彼女は振り返る事なく前を歩き続けた。
取り残された火神は、その後ろ姿を目の当たりにしながらも、心の中に残されたもやもやを振り払おうと再びストリートバスケへ向かっていくのであった。
次の日、彼女が体育館を訪れるとそこには相田リコの姿があった。
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作者名：ほんばし | 作成日時：2022年5月6日 16時
