白い梟の傍観事情 (ページ2)

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特別教室の話ページ2

誠凛高校には、特別教室なるものがあった。
とは言っても一般的に知られてる特別教室とはまた違うのである。
授業の時間帯も他の生徒とは意図的にずらされ、人と会うことのないようにされた待遇。
何より一番の理由として、彼女の容姿が問題だった。
人の目に触れれば確実に印象に残る風貌。

第一に白髪
第二に黒い眼帯
第三に白い目
第四に持ち手が梟の装飾が施された杖

そして、制服であるものの肌を見せないように施されたネックウォーマーやサポーター、そして足などは見せないように黒のタイツが施されている。

黒い眼帯で隠されてるその下は隠しきれないのか、まるで溶解された後のような痕跡が残された皮膚が少し見えていた。
口元は触ると柔らかそうな程にぷっくりしている。
目は端の部分が吊り上がっているものの、黒く長い睫毛が伏して蠱惑的な魅力を引き出している。
しかし、白に近い灰色に濁った瞳に見つめられれば忽ち人は硬直してしまいそうだった。
生気のない瞳と言っても過言ではない。
周囲を驚かせないために、青い目をしたカラーコンタクトを付けて学校生活を送っている。

彼女はこの学校でも特殊な立ち位置に当たる。

曰く、名の知れた家の三女。
多額の寄付金を行う代わりとして、彼女の受け入れをしていた。
しかし彼女自身、不正を行ったわけではない。
彼女は実力でこの学校の時間を受け、みごと学年一位を獲得。
それ以来、特待生として特別教室が設立されたが、あくまでこれは非公式的だった。
本来の目的は、彼女に普通の学校生活を送らせること。
また、彼女が行う事には大抵のことには目を瞑ること。
学校側は同意し、また先生たちにも厳重に言いつけた。
そして特別教室の存在のことも他の生徒は基本、入れてはいけないこと。
そしてなるべく、彼女の言うことには最低限従うこと。

「こ、こんにちは〜……」

特別教室はこの学校の一階にある個別教室。
恐る恐る入る女性は、この度教育実習生として先生の役割を担った臆病気質な先生である。
その先には、閉め切ったカーテンの部屋。
そしてノートパソコンを眺めながら、腕組みをする生徒の姿があった。

「そう縮こまるでない。教師たるもの、背筋を伸ばし堂々とすればよい」

凛とした声、そして老人のような口調にたびたび困惑する教育実習の先生。
身体ごと先生へ向けると、机に手を置いてふわりと笑みを浮かべた。
その笑みはまるで、万人を呑み込みそうなほどに蠱惑的であった。