【あんスタ】白の流星は暗躍する２【流星隊】

未練の断ち切り〈小休止〉 ４ ページ47

「……そう。君は本当に、よく分からないね」


何を言うんだこの皇帝は。
一番食えないのは貴方だというのに。

……つっこむのもめんどくさいな。


「………調子はどうですか？」

「今日はわりといい方だよ。身体も起こせるし、咳もしていない」


……長い長い、闘病生活か。
そういえば、天祥院先輩は何で病弱なんだろうか。

今俺は、前の世界との違いを確認しているところだけれど……。

もしかしたら、天祥院先輩の身体だって前の世界では治っているかもしれないんだな。


まあ俺に医学の心得なんてないし、可能性があるとすれば医学部に所属していたこともある俺の恋人ぐらい……。


違う、一人でしんみりしてる場合じゃない。


「お疲れさまです」

「それほどでもないよ。……で、何の用なのかな？」


訝しげに、探るように、楽しげに。
大人と子供が混ざったような彼は、ただただこちらをじっ…と見つめた。


「あー、いえ。俺今月初めから学院休学しているんですけど、しばらく夢ノ咲離れるので、様子を見ようかと」

「休学……？」


端的に告げた言葉に、彼は眉をひそめた。
何故、とでもいうように。


「大した理由じゃないですよー。あ、学院の様子とか聞きます？」

「……いや、日々樹くんや敬人が教えてくれるからね」


……日々樹くん、ときたか。
まだ、彼への憧憬は続いてるようだ。

うーん……まあ、その内何とかなるんだろうな。
まあでも、一つだけ。


「名前とは自分自身を表すもの。仮面をつけてばかりのあの人が自分の名前を叫ぶように……周りも呼んであげないと、いつか消えちゃうかもしれませんね？」

「それは……日々樹くんのことかな？」


それには答えない。ヒントは与えたから。


「では俺はそろそろ行きますね」

「……何をするのかは聞かないけど、どこに行くのかくらいは教えてくれないかな？
生徒会長として、生徒の行動は把握しておきたい」

「……次は」


多分ハワイかな。

未練の断ち切り ５→←未練の断ち切り〈小休止〉 ３

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す