ピクシー達 ページ10
その後の授業は、散々だった。
解き放たれたピクシー達は、髪を引っ張るわ大事な教科書を窓から放り投げるわで、あちこちで惨状が起きている有様である。
「なんとかしてよ、ブレーズ!!」
「やだね。君がどうにかしろよ」
「もう!!」
Aはアリシアと共に机の下に隠れている、ザビニに助けを求める。
先程から、3匹のピクシーにしつこく付き纏われているのだ。
ザビニが言う様に、なんとかしたいのは山々だがAの杖では何故か呪文が発揮しない。
教科書を振り回してピクシーから逃れようとするAを、ザビニは呆れた様に見ていた。
ザビニはしょうがないな、と言う様にため息を吐いて机の下から這って出る。
立ち上がって杖を取り出して、あの呪文を唱えた。
「イモビラス!!」
呪文の効果は教室中に広がり、動き回っていたピクシー達が大きな目を瞬きしながら止まった。
あれ、この呪文って確か、ハーマイオニーが出すはずの呪文だよね?
ピクシー達を固めたザビニは、ノットを連れてさっさと教室を出て行った。
他の生徒達も、それに習って次々と教室を出て行く。
Aは残って、固まったピクシー達を回収し籠に戻して行く作業を開始した。
「手伝うよ」
声を掛けて来たのは、ハリー。
ハーマイオニーとロンもいる。
「ありがとう」
「初日からやってくれるよな、ロックハート先生」
「もう、ロンったら……。先生はただ、その時になったらどうするかっていう行動をね」
「君のロックハート贔屓には、お腹いっぱいだよ」
ハーマイオニーにロンは、そう軽口を叩く。
全てのピクシーを籠に戻して、Aは言った。
「私、先生に返して来る」
「なら、私も……」
「ハーマイオニー、ここはAに任せよう」
ハーマイオニーはムッと眉を寄せて、ロンを睨め付ける。
「何よ、A1人じゃ……」
「彼女なら大丈夫だよ。そうだろう、A」
ハリーに言われて、Aは頷く。
彼女がこれを引き受けたのは、ロックハートに聞きたい事があるからだ。
ハーマイオニーの視線を背中に感じながら、Aはロックハートの部屋へと向かった。
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作者名:カプチーノ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/shazam03271/
作成日時:2020年6月14日 8時