フェンリル ページ31
医務室でのアンとの話し合い後、Aは寮に戻るべく庭に面した廊下を歩いていた。
ふと庭の方に目を向けると、そこに1匹の動物がちょこんと座っていた。
それは犬でもなく、猫でもない。
「フェンリル?」
ファンタジー物語によく見る、狼の様な動物を見てAは呟く。
駆け寄ると、フェンリルは黒目がちな瞳でじっとAを見上げて来る。
フェンリルの体毛は、白で目は黒だった。
「ねぇ、貴方何処から来たの?」
フェンリルに尋ねるが、もちろん答えなんて返って来るわけないがない。
誰かに知らせないと、と背を向けたところで低音のあるどこか耳に残る声が耳朶を打つ。
「その必要はねぇよ。何せ、ここは俺の母校だからな」
振り向くとそこには、先程フェンリルがいた場所に1人の男が立っていた。
黒の衣装を纏い、黒色の髪を後ろに束ねた男性だ。
Aが貴方は? と疑問を投げつけると、男は答えた。
「俺の名前は、スカビオールだ。アニメーガスは、フェンリルで職業は人攫いだ」
スカビオールと名乗った男は、Aを不敵に笑って見下ろした。
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作者名:カプチーノ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/shazam03271/
作成日時:2020年6月14日 8時