見たことのある ページ11
ロックハートの部屋に入り、ピクシーの入った籠を渡す。
「ありがとうございます」
「いえ。それより、ロックハート先生。私を覚えていませんか?
去年、漏れ鍋で会いましたよね」
ロックハートがぴたっと動きを止め、こちらを振り返る。
「会いましたかね?」
「会いましたよ。先生、私を見るなり何故か顔を逸らして」
私、何かしたんだろうか? 別に夢小説の夢主の様に、彼に暴力を振るった覚えは無いのだが。
「まぁ、なんと言いますか……」
「あれ、これ何ですか?」
ロックハートが答えようとした時に、その声に被せる様に彼女が言った。
Aが見ていたのは、1枚の額縁に入れられた写真だった。
ロックハートの部屋には、数々の栄光の写真がある。
ロックハートは彼女の指差した写真を見ながら、自慢げに話した。
「ああ、これは怪物を退治した後の写真ですね」
「怪物?」
「ええ」
ロックハートの足元に倒れている、怪物なるものをよくよく見てみると……。
これ、某恐竜映画で出て来た、ヴェロキラプトルじゃない!
何でこの世界に?
「ロックハート先生、これ何処ですか!?」
「イギリスの離れた島にある村、ワガワガ村ですよ。私がこの島に行って、村の観光をしている時に、その怪物が襲って来ましてね。
村の人達が言うには、山に住んでいるのが降りて来たそうで」
Aの迫真にオロオロしながらも、ロックハートは答えた。
ワガワガ村と言う場所は気になるが、それよりも恐竜だ。
この魔法界には、ドラゴンやケンタウルスはいても恐竜はいない。
ましてやもう絶滅している。
と言う事は考えられる事柄は1つだ。
Aやアン以外にも、まだ現実世界から来た人はいるという事だ。
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作者名:カプチーノ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/shazam03271/
作成日時:2020年6月14日 8時