その道の先へ－炎のゴブレット① (ページ36)

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番外編－仇ページ36

「随分と周りに愛想を振りまくのに必死だね、ミス・スーパー」

「あ、貴方は……」

異性と思う存分ダンスを楽しみ、ひと休憩しようと薔薇園に出たジル。

そこでジルはウィリアムと会った。

彼は黒いスーツを纏い、普段は下ろしている髪を後ろに撫で付け、いつもとは違う雰囲気を醸し出していた。

「周りに嫌われないよう、努力しているのが眩しいくらいだ」

「ふ、ふん。夢小説の夢主はね、そう言った努力は欠かさないの。
大切に想っていた人にそれを看破されて、今まで嫌われないよう頑張っていたねって」

「成る程。吐き気のする理由だね」

何？とジルはウィリアムを睨み付ける。

ウィリアムは動じずに、相変わらずニコニコ笑っていた。

腹の底が見えない男ね……私の過去が分かる能力を持ってしても、こいつの過去は分からない。

そう言った能力が効かないのは、夢主だけの特権だ。後は、何を考えているか分からないとか、怒ると怖いとか。

「そうそう、僕の主人から伝言を預かっていてね」

「伝言？」

「君の子を産む子宮を抉り、スネイプ共々自滅させてやる、ってね」

「は？貴方の主人、頭可笑しいんじゃない？
夢小説の夢主にそんな事……」

ここでジルは息を呑む。ウィリアムの表情が笑みから無表情に変わったから。

「君はどうやら、自分が世界の中心だと思っている様だが、それは間違いだ」

「なっ……」

「君が特別な存在……それは認めよう。しかし、自分が認められて強いからと油断していたら、いつか足を掬われる事になるぞ」

ウィリアムはそれだけ言い残し、その場を立ち去って行く。

ジルは様々な観客がいる中、事を荒立てる事は出来ずに、ただ見ているしかなかった。