花びらたちのマーチ(2/2) ページ30
代表選手が踊りを繰り広げる中、いよいよ他の人達が踊れる事となった。
Aは不安を拭えないまま、会場へとギルガメッシュと足を踏み入れる。
緩やかな曲が流れ、ギルガメッシュが曲調に合わせて、ゆっくりとリードをしてくれる。
リードされるがまま、彼女は思った。
ギルガメッシュってダンス上手だったんだ、と。
英霊になる前の彼が、ダンスの1つや2つ経験していてもおかしくないか。
何せ自分とギルガメッシュは、生きた時代が違う。
曲に合わせてギルガメッシュが、くるりと回転し彼女もそれに習った。
パールと雪模様で彩られたドレスの裾がヒラリと舞い上がり、周りで見ていた観客達から感嘆の声が上がる。
ふとギルガメッシュが彼女の肩に触れ、1枚の花弁を取った。
「何だ？ 花か？」
「花が……何で、って」
踊りながら見渡すと教職員の席からダンブルドアが、杖を取り出してにこりと微笑みながら手を振っていた。
彼の杖からは花弁達が舞い踊り、それが今フロアで踊っている人達に降り注ぐ。
これではまるで……。
「花びらたちのマーチ」
「良い名称だな」
「そうかしら？」
花弁舞う中、ギルガメッシュとAは踊り続ける。
こうして面と向かって踊っていると、周りからは隔絶され2人きりと言う錯覚に囚われる。
いや実際、彼女は囚われていた。
「このまま輪になって踊り続けたい……目障りな有象無象を忘れて」
「A」
ギルガメッシュに名前を呼ばれ、Aは少し身長差のある彼を見上げた。
髪を優しく撫で好かれ、彼女はそのままギルガメッシュに引き寄せられる。
突然の事でびっくりし、Aは思わずギルガメッシュの黒い革靴を盛大に踏んでしまった。
ギルガメッシュとAが楽しそうに踊っているのを、スネイプは見ている事しか出来なかった。
ジルからは、彼女をダンスパートナーに選べと言われていたが。
我輩には所用があるから無理だ。それに……。
ギルガメッシュの前でAと踊れば、後で彼から何をされるか分からない。
スネイプは華やかな舞台を背にし、外へと赴いた。
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作者名：カフェラテ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/shazam03271/
作成日時：2021年3月30日 12時
