悪いが ページ20
ギルガメッシュは困惑する彼女の隣に立ち、フラーに言う。
「悪いが、貴様とは踊れん。何故なら、こいつと踊るからな」
「えっ！？」
「はっ！？」
ギルガメッシュの言葉に、Aとフラーが驚く。
「ぜ、ぜーったい、嘘でーす！ 申し込んでいたなーら、そんな反応はしませーん！！」
「ああ、だから今申し込んだ。Aは受け入れるであろう？」
ギルガメッシュはAの肩に、堂々と手を回す。
更に困惑するAの肩を強く掴み、ギルガメッシュは彼女の耳元で囁きかける。
「ここで話を合わせろ」
「ふ、ふぇ？」
「貴様が承諾すれば、此奴も引き退る。
貴様を取り巻いている連中も、マシにはなるであろう」
どうやらギルガメッシュは自分だけでなく、Aの問題まで解決してくれるらしい。
しかしそうなると。
「で、でも、私が承諾したら本当に私と踊らなきゃいけないわよ？
それでも」
「構わない。何もずっと踊る訳ではないのだろう？」
それはそうかも知れないが。
ジトーッとこちらを見ているフラーに、Aは屹然と言った。
「申し訳ありませんが、彼と踊りますので」
「うっ……そ、それなーら仕方ないでーす」
フラーは泣く泣くそう言いながら、あっさりと引き退った。
去る直前にギルガメッシュに、「ご迷惑をお掛けしましーた」と謝っていたので、根は良い人なのかも知れない。
「あの、本当にいいの？」
「たわけ。いいに決まっているだろ。
当日に口だけでは彼奴にまた言い寄られるからな」
ギルガメッシュがようやく肩から手を離してくれたので、Aは安堵の息を漏らす。
端正な顔立ちをかなり真近で見ていたので、心臓が強く脈打っていた。
こんな風に、ギルガメッシュを真近で見るのは初めてかも知れない。
そんな2人を、とある男が羨みしげに見ている事に、本人達は気付かなかった。
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作者名：カフェラテ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/shazam03271/
作成日時：2021年3月30日 12時
