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006. ページ8

シノとアンナが顔を見合わせるのも、これで何度目であろうか。


だが、その驚愕の表情は 次第に意地の悪い含み笑いに変わり、



「ほほう、それはそれは結構な……」


「なーんだ、そんなことかよ! で、どの寮の何年生なんだ!?」


「こ、こうなるから言いたくなかったのよ……!」



コニーは、蒸気した顔を両手で覆い隠して縮こまる。彼女の予感は的中していた。


自身の抱く恋情を明かせば、この友人二人は間違いなく自分を揶揄うだろう、と。



「なぁに、馬鹿にする気なんかないさ。あたしたちは お前の幸せを応援しようと してるんだぜ?」


「ええ、こんな面白い……いえ、由々しき事態を、放ってなんかおけません。」


「ネタにする気 満々じゃない!」



う"〜っ、と薄紅色の豊かな髪を ぐしゃぐしゃ掻きむしりながら、コニーは唸る。


アンナは ともかく、お調子者のシノを この件に関わらせたら ロクなことに ならないのは目に見えていた。



「ひっでぇな、ガキの頃からのトモダチだろ?」


「アンタなんか 腐れ縁以外の何者でもないわよ!」



無垢な恋情を執拗に弄ばれたコニーは、もはや半泣きである。これには さしものシノも、少しやり過ぎたか、と気付き、



「わ、悪かったって。もう茶化さないって約束するからさ。
 あたしが お前に嘘 吐いたこと、一度でも あったか?」


「ない、けど……」



むぎゅ、と桜色の唇が への字に曲げられた。


こういう時に シノを無碍にできないのだから、つくづく自分が嫌になる。



「なあ、どんな奴なのか だけでも 教えてくれないか? 絶対に馬鹿にしないって約束する。」


「……絶対に、よ。約束 破ったら承知しないんだから。」



きゅっ、と茜色の隻眼を鋭く吊り上げて、コニーはシノに念押しした。


どうしても彼女が信用ならない、という わけではない。


だが、生まれて初めて抱いた感情を他人に晒すのは、やはり それなりに勇気が要るのだ。


コニーは、意を決して短く息を吸い、僅かに止めた。そして、



「彼は、多分……オクタヴィネルの人。『モストロ・ラウンジ』で、寮服を着て給仕してたから。」

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作品ジャンル:ラブコメ
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茨の國のぼっち(プロフ) - フォントから、ユニーク魔法から、文章から、全てにおいてセンスが良さすぎます!前章に引き続き、この章も楽しく読ませていただきました! (2021年1月17日 1時) (レス) id: 9a68fed22a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:擂糸 | 作成日時:2020年9月27日 12時

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