蒸留酒入りチョコレヰトの小夜曲【twst】 (ページ5)

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絶叫にも近い声を上げてから、コニーはしまった、と自らの口を押さえた。

案の定不良生徒は額に青筋を浮かべ、ガッ！と彼女の胸ぐらを掴む。

「やめてよ、離してったら！！」

「大人しくしてりゃ、痛ぇことはしないつもりだったんだがな……！」

じたばたと暴れるコニーを、数人がかりで押さえ付ける。

せめてもの抵抗と彼女がげしげし振り回した足も空を切り、

「お客様、落ち着いてください！」

「うるせぇ、すっこんでろ！！」

止めに入った寮生すらも歯が立たず、いよいよコニーを標的に拳が固く握られる。

……だが、それは唸りを付けて振り翳される前に、ぎちり、と強い力で押さえ込まれた。

腕が動かないという異変に、一体何事かと男子生徒が目を剥けば、

「……お客様、当店は紳士の社交場です。他寮生同士の揉め事はご法度ですよ。」

「げぇっ、お前はリーチ兄弟の……！」

ジェイドです、以後お見知り置きを。

そう名乗った彼は柔和な笑みを崩していないが、その手はコニーを殴ろうとした腕にギリギリと爪を食い込ませている。

そして、呆気に取られる彼女の肩を空いた方の腕で抱き寄せ、

「店内で暴力を振るい、女性に無体を働く礼儀知らずなお客様にはお引き取り願いましょうか。」

「こ、こんな店こっちから出てってやらぁ！！お前ら、行くぞ！」

バッ、とジェイドの腕を振り払い、男子生徒たちがわらわらとラウンジを後にする。

コニーは、暴れた際に乱れた制服を直すこともできずにぽかんと座り込んでいたが、

「……おっと、失礼しました。僕としたことが、許可なく女性の肩を抱いてしまうなんて。」

どうか、お気を悪くなさらないで。

そう彼が微笑んだ、その瞬間。

どくり、とコニーの心臓が一際大きく拍動を刻んだ。

ジェイドが去ったその後も、彼女は呆然と座り込んだままぴくりとも動けなかった。

微動だにしない骨格とは正反対に、鼓動は急加速していく。

思考が混濁し、顔に身体中の血液が集中する感覚を味わっていると、

「……あ、コニーさんいましたよ」

「おーい、遅くなった！」

ようやく各々の仕事を終えたアンナとシノが、人形のようにちょこんと座ったままのコニーを見つけ彼女の座るテーブルまでやって来た。