検索窓
今日:6 hit、昨日:5 hit、合計:17,952 hit

011. ページ13

キノコ料理を出せば、片割れにも幼馴染みにも もう勘弁してくれと言われ。


わざわざ原木を設置すれば、過失とはいえ撤去され。


せっかく立ち上げた同好会にも 加入したがる者はおらず、ある意味でジェイドは孤独だった。



そこに現れたのがコニーである。


佇まいは淑やかだが、あまり聡明そうには見えない。


そう認識していたコニーへの評価を、彼は180度 ひっくり返した。


彼女は平凡どころか、救世主……否、女神様にも値する、と。



何の前触れもなく呼び出されたかと思えば、あろうことか『山を愛する会』に感心が あるのだという。


ジェイドの趣味嗜好に理解ある者が ようやく現れた瞬間、彼は 素直に喜び、そして この出会いに感謝していた。


もっとも、その『女神様』は 非常に不純な動機で山を愛する会への入会を望んだのだが。



「今日の活動が楽しみで、つい準備に熱が入ってしまったんです。
 お待たせして しまっていたら申し訳ありません。」



ほんの少し頬を染め、嬉々としてジェイドは語る。


その一方で、恐縮ですと笑顔を取り繕うコニーの心境は、穏やかではなかった。



(モストロ・ラウンジで会った時は あんなに紳士だったのに、キノコのことになると こんなに ニッコニコで可愛くなるの……!?

 今日が楽しみだった、なんて、そんなの ますます好きになっちゃうじゃない!!)



愛しさの余り 叫びたくなるのを堪えたコニーの喉が、ぐぅっ……と音を出す。


ジェイドは、彼女がニヤつきそうに なるのを表情筋に渾身の力を込めて 耐えていることなど つゆ知らず、



「それでは 参りましょうか。」



と、足取り軽く 学園の裏山へと向かった。



*


草むらを掻き分け、食用にできる野草やキノコを摘んでは カゴに収めていく。


非常に地味な作業だが、それもジェイドと一緒ならば 何より尊い時間になった。



ふと、木陰に群生するキノコの株を目にしたジェイドは、



「……おや、これはアミガサタケですね。」



その瞬間、ぴくりとコニーの耳が反応する。


まるでキノコの名前がトリガーになった かのように、彼女の脳内に詰め込まれた 予備知識が一斉に紐解かれたのだ。

012.→←010.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (22 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
32人がお気に入り
設定タグ:twst , ツイステ , ジェイド・リーチ   
作品ジャンル:ラブコメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

茨の國のぼっち(プロフ) - フォントから、ユニーク魔法から、文章から、全てにおいてセンスが良さすぎます!前章に引き続き、この章も楽しく読ませていただきました! (2021年1月17日 1時) (レス) id: 9a68fed22a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:擂糸 | 作成日時:2020年9月27日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。