19話 ページ21
「失礼します」
火影室に入ると、火影様はいつものように優しい微笑みを浮かべていた。
「見ておったぞ、A」
「……大変申し訳ございません、私の監督不行き届きです」
火影様は謝る私の頭を軽く撫でると、「良い」と言った。
「今回はお咎めなしとしよう……ナルトの卒業祝いじゃ」
「ありがとうございます……今後は、こんなことがないよう努めますので」
頭を下げたまま言うと、火影様は今度は困ったように眉を下げた。
「Aよ、あまりあのことを気にするでない……」
「いえ……里のみんなとの、約束ですから」
火影様は本当に優しい方だ。
この方がいるから、私たちは里に居られる。
安心させるように、なるべく元気そうに微笑んで見せた。
火影様は、すこし暗い顔になって、わたしに尋ねる。
「お前は……この里が好きか？」
「えぇ、もちろん。私に愛する人を与えてくれた場所です」
そう言うと、ホッとしたように「もう良い、行け」と言う。
「失礼します」と軽く挨拶し、部屋を出た。
「Aよ……お前は一体、何に囚われておる…？」
だから、火影様がわたしが出て行った扉を見て、そうポツリとつぶやいていたことなんて、知る由もなかった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
＿＿＿＿＿＿＿＿
数年前__九尾の襲来により、四代目火影とその妻が命を落とした。
息子の体に九尾を封印して。
人々は多くの命が失われた悲しみの中、四代目火影の葬儀に集まった。
黒い服の波の中、小さな体で赤子を抱え少女の姿。
「聞いた？Aちゃんが抱えてるあの子に九尾が封印されているんですって」
「えー！？やだー！いつまた暴れ出すかわからないじゃない」
そんなコソコソと囁く声に振り向きもせず、少女__Aは毅然とした様子で墓を見据えていた。
「波風A、その子を預かろう」
そこに、ひとりの忍が三代目火影とともに声をかけた。
抱えている赤子を受け取ろう、Aに手を伸ばす。
しかし、Aはその手を拒んだ。
「この子は渡しません」
その言葉に、その場にいた全員が黙り込んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 199人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「転生」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紗菜 - 続き、待ってます。 (2022年12月13日 23時) (
レス) id: c2a2213ca9 (このIDを非表示/違反報告)
ﾜｽ - 応援してます(˘ω˘ ) (2022年2月7日 9時) (レス) @page47 id: f51baff03e (このIDを非表示/違反報告)
がー(プロフ) - もう大好きです！絶対続編読みたいです！もうやばいで大好きいいいいいいい！！！ (2019年9月26日 0時) (レス) id: 8eb0f6b23c (このIDを非表示/違反報告)
センカ(プロフ) - 心さん» コメントありがとうございます！おもしろいと言っていただけて本当に嬉しいです！とてもやる気が湧いてきました！ (2019年6月14日 19時) (レス) id: f204811481 (このIDを非表示/違反報告)
心(プロフ) - 初コメ失礼します。とても面白いです。更新頑張ってください！ (2019年6月13日 7時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：センカ | 作成日時：2018年10月21日 18時
