鬼舞辻無惨の嫁

20話 ページ21

そうしてしばらくそのままでいたが……流石に疲れて2人とも手を離した。

A『……口がカラカラなんですけど』

無「……自業自得だ」

A『そんなことないですよ』

無、A「……ｸｽｸｽ)」

……前よりも、距離が近づいた気がした。

心を完全に許してくれている。

そう実感できた時間だった。









それから、私達は無限城で過ごすようになった。

A『ねぇ、無惨さん』

無「なんだ」

A『人間、食べなくても生活できますよね？そうしましょ』

無「お前ら人間だって家畜を育てて殺して食うだろ」

A『そうですけれど、無惨さんは無駄に人を殺しすぎです』

無「見てもないのになぜそう思う」

A『なんとなくですよ』

無「それが夫に言う言葉か」

A『すみませんね』

A『でも、ほんとにむやみに殺してはだめです。小さな子供でも分かりますよ』

無「お前も鬼になれば分かる。鬼にしてやろうか？」

A『結構です』

無「ｸｽｸｽ)そう機嫌をこそねるな」

A『悪くもなりますよ、全く』

A『絶対に地獄に行きますよ』

無「今更辞めたとて、天国に行けるわけではないだろ」

A『当たり前です』

無「ならばやめる理由などないだろう」

A『大アリですよ！天国や地獄がないとしても！人をむやみに殺めてはいけません』

A『家畜の話をしましたが、食べる分だけ命を頂くんです。いただきます、と感謝の気持ちを込めて』

A『無惨さん達とは大違いですよ』

無「……………知らん」

A『……地獄に落ちたとしても、今から行いをなおば多少は優しくしてくれますよ』

無「そもそも私に罰はくだらないと思うが」

A『何言ってんですか』

無「私は今まで、神も仏も見たことがない。……天罰など受けたことは一度もないぞ」

A『あの世で受けるんですよ』

無「青い彼岸花か、あの娘さえ食えば死なないけどな」

A『そんなことはさせませんよ』

無「死にたくないと思うのは当然のことだろう」

A『そうですか、その人にとって充実した人生であれば……きっと、死も穏やかに受け入れられると思いますよ』

無「戯言を」

A『本当のことですよ』

無「……お前は、不老不死になれると言われたらならないのか？」

A『……悩みはしますが、ならないと思いますよ』

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