シャムロックの花

三十六つ葉 ページ38

令呪の使用(最終兵器)によって大人しくなった各サーヴァント達に、立香はほっと一息を吐いた。

自身の右手の甲にあった三画に分けることができる紋章の内、一画の部分が薄くなっており使用後はこうなるのかとまじまじと見たのである。

「立香くん御苦労様。それで早速なんだけど」
「マスター、一つよろしいで？」

一息落ち着いたところで次に立香にしてもらうことを説明するロマニの声を、遮ったのはキャスターのジル・ド・レェである。

立香は一度ロマニに断りを入れてから彼に何かと尋ねた。

「はい、可能ならばクラス名ではなく真名の方で呼んでいただけたらと思いまして。クラス名ですと誰を呼んでいるのか分からなくなってしまいますので」

確かに、と何名かのサーヴァントは頷く。

現状カルデアにいるサーヴァントはセイバークラスが二名、アーチャークラスが一名、ランサークラスが一名、ライダークラスが一名、キャスタークラスが二名、エクストラクラスであるルーラーとアヴェンジャーが各一名である。

「キャスター……、いえジル・ド・レェのいう通り、クラスが被っているサーヴァントがいるので真名の方がいいでしょう」
「確かに、俺もセイバーと呼ばれれば反応するであろう」

クラスが被っているアルトリアとジークフリードが頷き合う。

確かに真名ならば被ることは"ほぼ"ないだろう。

「はぁ？ 何言ってるの、クラス名の方がいいいに決まっているでしょう」
「それは私ももう一人の私と同意見です。ジャンヌと呼ばれたら私なのか彼女なのかと悩んでしまいますので」

その極小数に分類されてしまうのが二人のジャンヌ・ダルクであった。

そしてもう一組、同名の人物が二人いる。

「あ？ んなもん渾名(あだな)かなんかで呼べばいい話だろ」
「私はどちらでも。マスターにお任せいたします」

クランの猛犬の異名を持つクー・フーリンの二人である。

ジャンヌ二人とは違ってこちらは真名呼びに賛成的であった。

予想をしなくても今後立香と契約するであろうサーヴァントは増えていくはず。

それに伴いクラスの被りも出てくるであろう。

ならば今後のことを考えれば真名呼びにすることは名案だ。

「えっと……」

困ったようにジャンヌ二人とクー・フーリン二人と、他のサーヴァント達を見た立香は困った。

真名呼びは非常に良い案だ。

だが否定意見も一部出ているためどうすべきかと考え悩んでいるのである。

三十七つ葉→←三十五つ葉

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す