検索窓
今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:3,411 hit

第二十一話:残光《ジェイシス視点》 ページ25

そして、私達は透化の術式を使い船内への潜入を果たした。ティターニアには傘を閉じ、私はレインコートを脱ぐ。潮の香りと雨水の匂いがして、船内もどことなく物悲しい。
「・・・・・・この船内で、クロメア様は・・・・」
ティターニアは哀しみを孕ませて呟くが、私は応えなかった。私は今、ティターニアのぼやきに付き合える心境ではない。先程の輩の戯言も相まってか、私の怒りの炎がより燻っていた。
私達は船内で、歩いている。
やけに静かで、雨音だけが船内に反響するように響いている。ティターニアは私を気遣ってなのか、それ以上話さなかった。
・・・・・・思えば、クロメアと最期に会ったのは真選組の屯所付近だった。焚書官の一家・・・ゼッケンドルフ家の末裔のアレスや腐れ縁のアラン、ルナリアと共に魔導書の処理をしている時、彼は現れた。彼がなんと言ったのかははっきりと覚えてはないが「これ以上関わるな」や「君達と戦う事になる」らしき事を言ったのは覚えてる。
そして────私は言った

「君の怠惰かつ傲慢な素振りには、失望した」

それは、彼との絶交を意味するのだった。そして、次は敵として会う覚悟でもあった───数日後、アレスから話を聞くまでは。
・・・・今思えば、酷い事を言ったと私は後悔している。
「────お嬢様」
ティターニアの言葉で、私は静止した。
「・・・この付近から、クロメア様の魔力が感じます」
そこは、何も無い通路の上だった───辺りを見回すと、私は床に付いた血痕らしきのを見つける。私はすぐ様透化を解除し、しゃがみこんで血の跡に触れた。
「・・・・・秘匿の悪魔:ヴァサゴよ。我が脳裏に過去の記憶を映したまえ」
私はそう言い、過去の映像を脳裏に映し出す。
銃声に、声を荒らげた攘夷志士達の姿が見えた。そして、クロメアの姿が近づいてきて───弦らしきモノに躓いて転ぶ姿があった。
視界がぐるり、と変わるとサングラスをかけた男の姿が見える。そして二人は魔導書関連の事で揉めていた。そして、男は刀を横に薙ぎ───喉を一閃する様に、静かに斬った。
視界が真っ赤になり、ぼやけてくる。
・・・・反逆者らしい、最期であったな───-


『────ジェイシス、“先輩”・・・ルナリア“先輩”、アラン“先輩”・・・・・・あの時、しんじ───られなくて、ごめん───な───さ───────』


彼の口から、懺悔の言葉を、零すまでは

第二十二話:罪と罰《ジェイシス視点》→←第二十話:業火《ジェイシス視点》



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (6 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
3人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , オリジナル   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:梨花 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2020年8月3日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。