第二十二話:罪と罰《ジェイシス視点》 ページ26
「っ!!!!」
私は映像が終わったと同時に、目を見開いた。
クロメアが、私やアラン達の事を“先輩”と呼んだからじゃない。信じられなくて────その言葉に私は心当たりがある。
それは、クロメアと最初に会った時の事。二年前、クロメアの兄で学友であったジール・サルバドールの命日であった。私が日本に引っ越した翌年・・・二十歳の時に、ジールは交通事故で亡くなった。ジールはサルバドール家の跡継ぎだったが、彼が亡くなった事によって自動的にクロメアが跡継ぎになったのだ。
アラン、ルナリア・・・そして私はクロメアに会った。
だが、第一印象は最悪だった。無愛想で、冷たくて。
『・・・何、どうせ僕を笑いに来たんでしょ?』
口癖のように、彼はそう言った。
─────恐らく、これに対する懺悔だろうか。
受け入れたくても、疑心暗鬼で、受け入れなれなかった事による、冷たさの、懺悔。
「・・・・・クロメア」
私は、彼の血痕を撫でるように触れる。
「君が、私達を・・導いてくれたのか・・・・?
・・・・だが、その事を早めに言ってくれれば・・・私達だって、手を貸したのに・・・」
涙を堪え、私も懺悔するかのように言う。
「私は君に酷い事を言った。君の全てを否定するように、突き放すように言った・・・君の全てを知らなかった、私にも罪がある。私も加害者であるのだよ・・・」
あの時、放ってしまった言葉。
彼の全てを、壊したような、言葉が頭の中で残っている。その言葉は、きっと彼の胸に残っていたのだろうか。
私は人より生きるだろう。私は人より死を悲しむだろう。けれど、過ぎた過去は戻らず、この
故に、私は願う。
「・・・・・君は、ジルとは共に居られないだろう。だが、だがせめてだ・・・・私達の行く末を、見守っていてくれ・・・・」
一筋の涙が、頬を伝い血痕に落ちる。
途中、ティターニアが言う。
「お嬢様・・・・これが落ちていました」
それは、ワインレッドのループタイだった。恐らく、首が切られた拍子に落ちたのだろう。私は無言でループタイを手に取り、銀の髪を結ぶ紐にした。
「・・・・・・ティターニア、君はクロメアの遺品を」
ティターニアは承諾して一礼し、姿を消した。そして、私も立ち上がる。
「何をしているのでござるか」
聞き覚えのある声がした方を向く。
その男は、サングラスをかけていた。
第二十三話:千人斬りのロンド《ジェイシス視点》→←第二十一話:残光《ジェイシス視点》
3人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ