紅き弾丸、蒼き銃士（�掘� ページ14
「・・・・・・・不思議な事も、あるもんだね・・・」
舞奈香はそう呟いて己の手を動かした。ここ最近、自分の体がどこか軽いような気がする───今まで持てなかった重たい荷物すら容易く持てるようになったり、祖父から護身術として教わった琉球古武術の動きにキレが戻ったような────そんな身軽さを、舞奈香は覚えた。
「来島また子・・・だっけ？これ以上殺気立たないでくれ、君と僕には圧倒的な差がある。それに僕は、無意味な犠牲を出したくない｣
「・・・・・・情けのつもりっスか・・・？そんな心配は無用────」
刹那、図書館の扉が開く音がして、舞奈香の顔は強ばる。
何故だ、彼女の気配を感じだ後に外界の空間の時間の進みは遅くしたはず。固有魔法を持たない一般人は簡単に辿り着けないはず────。
扉を開けた主は紫紺の長い髪に、桜の髪飾りを着けた細身の少女。舞奈香はその少女を知っている。
自分の学級委員をしている───名字が特徴的だった故に名前は覚えてる。名前は淺桐悠桜、名高い陽系陰陽師の家系だ。
しかし、当の本人は陰系の陰陽術に長けている。
────あぁ成程。そういうことか
時の力は五行・陰陽術に当てはめると陰の力がとても強く、わずかな確率で時の力が効かない陰系陰陽師が居ると、知り合いの陰陽師は言ってた。
つまり───淺桐悠桜は、時の影響力を受けないという事か。
想定外の乱入者に、舞奈香の表情は更に陰りを増す。
相手には無駄な犠牲をはらいたくないと言って、その代償が自分に回ってきたようなものだ。
嗚呼、なんて最悪なんだ。
「あ、あの。喜瀬さん、もうすぐ下校時刻ですよ」
どうやら彼女は、舞奈香に下校時刻が向かってると言うのを知らせに来たのだろう。
しかし、ここで下手に淺桐悠桜の存在を知られたら、確実に巻き込まれる。
どうすれば───どうすればどうすれば・・・!!!!
「き、喜瀬さん？どうか、しました────」
「近づくなっ!!!!何も言わずここから出るんだ!!!!」
「え───な、なにか、あったんで・・・｣
淺桐は舞奈香の身を案じてか、一歩前に踏み出した。
瞬間、彼女の背後を無理やり抱きつき。
彼女の悲鳴が叫びわたる。
「っな────!!!!!!」
振り向けば、背後から彼女の首筋に刀が突きつけられていた。てっきり舞奈香は河上万斉か岡田似蔵も来ているのかと思っていたが───全く知らない、鮮緑の髪の青年がいた。
「素晴らしい友情だね、感動するなぁ────けど無意味だよ」
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