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「空はどこで料理を習ったんだ?」
不意にそう問われた。
「習ったって言うか…おばあちゃんの手伝いをしながら覚えたんです」
「そうか、空のおばあちゃんは優しい人なんだな。こんなに優しい味の料理オレは母さんの作る料理以外で食べたことないから…」
少し寂しそうな顔を見せるイルカ先生。
「そうですか…なら、イルカ先生のお母さんの味に近づけるよう努力してみますね」
ならばイルカ先生のお母さんの味に似せて懐かしいものを味わって欲しい。そう思った。
「んー…でもなぁ?空の味は変えて欲しくないって言うのが本音かな」
…私の思いは先生のその言葉で掻き消された
「へ?そうですか?」
「オレ空の料理スゲー好きだからさ」
何やら先生の口からとんでもない発言がされているような気がする。
嬉しいやら何やらで内心どうしていいか分からないので取り敢えず話を逸らす。ほら時間も時間だし…(???)
「褒めても何も出ないですよ?あ、ほら遅刻しますよ、先生」
「ん、あ、あぁ!ほんとだ急がないと!今日は長話し過ぎちゃったな笑」
「ご馳走様!」
どれだけ急いでいても、どれだけ忙しくても、ちゃんと出したご飯は全て空にしてくれる先生。
歯を磨いて、着替えて、髪を結って、道具を揃えて…
そして準備の整ったイルカ先生を玄関の前まで見送りに来た
「先生、お弁当作ったんですけど…」
断られたらどうしよう。なんて心のどこかで思いながら、先生に差し出す。
「え、いいのか?!ありがとう、昼に食べる!じゃあ行ってきまーす!」
やっぱりイルカ先生。心配して損したかも…なんてそんなことを思った。
タッタッタッ…
…何だかこの流れ夫婦みたいだな。
扉を開けて飛び出して行く先生を見て何だか笑いがこみ上げてきた。
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豆腐(プロフ) - ハオミンさん» ありがとうございますw私から見たイルカ先生のイメージが赤ちゃんとか子犬とかになっちゃってるせいでかっこよさがほぼ消え失せてしまいましたw (2020年1月4日 17時) (レス) id: 5cf19f9ade (このIDを非表示/違反報告)
ハオミン - なにこれ、先生可愛いw (2020年1月4日 8時) (レス) id: 228eb0b481 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:豆腐 | 作成日時:2019年3月29日 21時