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二十一話 五月蠅い ページ22

「千鶴ちゃん。お疲れ様」
「はい。Aさんのおかげです。ありがとうございました」

あぐらをかいてのんびりするAに深々と礼をする千鶴。
Aは頭を上げさせる。

(千鶴ちゃん、やっぱり可愛いなー。絶対女の子って分かるよ)

「ほら、捕まったのも何かの縁だし。あ、俺のことはAでいいよ。俺も千鶴ちゃんって呼んでるし」
「…えっと、A君?」
「うあああああ!」
「え、A君!」

照れながらに名前を呼ぶ千鶴にAは堪えていた萌えが一気にあふれ出て、壁をばんばんと叩きだした。
それを見て何か具合が悪いのかと、焦る千鶴。

「A君、うるさいよ」

窓の方から間違う事のない沖田の声がした。予想していなかった声に騒いでいた部屋は一気に静まりかえる。

(まさか沖田がいるとは…)

窓から顔を覗かせる沖田。A達は顔を真っ青にする。

「あれ、気付いてなかった?この時間帯は僕が監視役なんだけどな」
「なるほど」
「わああ…」

千鶴は焦る。それに対してAは土方じゃなくて良かったとほっと息を吐いた。

「土方さんじゃなくて良かったね。んー言っちゃおうかな」
「お、お沖田さん、やめて下さい!」

安心していたAは一変、急に焦り始めた。笑みを崩しているAを見て心底楽しそうに笑う沖田。

「どうしようかなー」
「わあああ」
「五月蠅い…夕食の支度が出来ている。そろそろいいだろうか」
「っ斎藤さん」
「すまない。あんた達と総司の話にひと区切りついたら、声をかけるつもりだったんだが……」

凛とした斎藤の声に沖田はひやかすことをやめた。どうやら斎藤にも聞かれていたらしいととめる意欲を無くすA。千鶴も諦めている。
追い打ちをかけるように斎藤の後ろから藤堂がやってくる。ぱたぱたと駆けてきた藤堂はA達を見ると頬を膨らまして、斎藤に話しかけた。

「ここ賑やかだなー…ってちょいちょい、一君!何、仲良くお喋りしてんのさ?あのさぁ、飯の時間なんだからさ、早く行こうぜ」
「俺は仕事がある。先に食べていい」
「片時も目を離すなって土方さんの命令だもんね」
「だったらこいつらも俺らと一緒に食わせればいいんじゃね?」

きょとんとした藤堂はA達を交互に指さした。おかずの取り合いが見れる、と顔を輝かせるA。

「是非ともっ」
「…部屋から出すなとの命令だ」
「いーじゃん。土方さんは大阪出張中なんだし」
「え…!」

Aは藤堂の一言に目を見開いた。

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設定タグ:薄桜鬼 , 妖刀 , 死ネタ予定   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:刹那ハル | 作成日時:2015年1月15日 17時

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