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42話 まるで仲直り ページ43

「なんで、楓ちゃんがここに? どうしたの?」


楓ちゃんはほっぺを膨らませて、腕を組んでいた。もしや、不機嫌さん?


「どうしたの、はこっちの台詞だよ、もー」


楓ちゃんは表情を和らげ、わたしに向かって話し出した。


「最原くん、落ち込んじゃっててさ…。さっき、2人でピアノの演奏をしてたんだ。

 あのね、気分によってピアノの音色は全然違うの! 音色で分かるくらい、落ち込んでるよ。

 今、最原くんは個室にいると思う。行ってあげるんだよね?」


「うん、もちろんだよ! 教えてくれてありがとねっ」


わたしは最原くんの個室へ走っていった。…落ち込んでる理由も聞きたくて。


そこに着くまでは一瞬のようで長かった。わたしは扉の前で、インターホンを鳴らした。


最原くんは少しして、ドアから顔を出した。そして、わたしを見て驚いたみたい。


「良かった、最原くん。出てくれないかと思って緊張したよー」


「東雲さん、どうしてここに…!?」


「取り敢えず、上がっても良いかな? ちょっとお話ししよ」


早速上がって、さて、と腰掛けて話を切り出す。


「えーっとね、わたしも良く分かってないんだけどね、さっきの話の事…」


「朝食堂でした、王馬くんとの話…で、合ってる?」


「うん、その事なんだけど。最原くんが誤解しちゃってるから」


「誤解…? えっと、何の事かな。あの件については、東雲さんも肯定してたよね」


「ううん、わたしが勘違いしてたの。確かに王馬くんと布団で潜りっこはしたんだけど、

 最原くんが気を付けろって言ってたような事にはならなかったよ」


わたしがそう言うと、最原くんの瞳に光が灯った。そして、やっとこっちを見てくれた。


「東雲さん、それって本当…?」


「うん! 本当だよ!」


「良かった…。そうだ、僕、早とちりしてたんだ…。確かにあの時の会話…、うん、間違いない。

 ごめん、僕が独り合点して勝手に落ち込んで…。あはは、ありがとう、東雲さん」


「全然。わたしがはっきりしなかったのが悪いんだし。それはそうと、聞きたいことがあるの」


「聞きたいこと?」


「うん。どうして最原くんは落ち込んでたのかなーって。なんで?」


「えっ…」


「あ、無理に言わなくても良いんだけどね。ちょっと、気になっちゃって」


最原くんが何かを考えるそぶりをし、その後決心したかのようにわたしを見据えた。


「東雲さん、ちょっと外で散歩しながら話そうか」

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みさっと - 面白いです!!!ヽ(゚д゚ヽ)(ノ゚д゚)ノ!! (2018年4月11日 6時) (レス) id: 0bc1c5e779 (このIDを非表示/違反報告)
みゅー@作者 - 久々に来てみたら…20000hit感謝。続編もよろしくです! (2017年11月12日 14時) (レス) id: 9a72ab82f4 (このIDを非表示/違反報告)
みゅー@作者 - 続編制作決定。 (2017年5月20日 0時) (レス) id: 4648477697 (このIDを非表示/違反報告)
みゅー@作者 - 10000hit感謝。 (2017年4月27日 16時) (レス) id: 3c0d286ec2 (このIDを非表示/違反報告)
みゅー@作者 - そう言えば、ID違いますが、2機使ってるので、なりすましではないです。 (2017年4月13日 17時) (レス) id: 84c734e715 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みゅー | 作成日時:2017年3月22日 0時

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