検索窓
今日:10 hit、昨日:28 hit、合計:199,133 hit

35話 引っ越し ページ36

わたしは最原くんに王馬くんの部屋で泊まる事を伝えるため、楓ちゃんの研究教室へ向かった。


「楓ちゃーん、最原くーん、いるー?」


ドアを開けると、ピアノの優しい旋律が耳に入る。すごく心地良い、このメロディー。


それを奏でているのは、仲良く鍵盤を叩く2人。相性は抜群…みたいだね。


「あ、東雲さん」


「丁度良かった。私たちの演奏、聴いてくれる?」


「もちろん! 2人の曲、聴かせてよ」


直後、流れ出した曲は、あの歌だった。世界中でも多くのタイトルをもつ歌。


日本では確か、“ある動物” を踏んでしまった、というような歌詞で知られている。


それをアレンジしたみたい。初めて聴くようであり、なんだか懐かしくも感じた。


上手とか、下手とか、そういう次元を越えちゃってて、2人の息がマッチしていた。


演奏が終わる頃には、もうすっかり音楽の世界に入ってしまっていた。


「ふぅ…、どうだった、東雲さん」


「すごく心に響いてきて…、うまく言葉にできないんだけど…感動したよ」


「ほんと? ありがとう。頑張って練習した甲斐があったよ」


「私はもう少し、ここでピアノを弾いてるね。最原くん、明日も練習しよう?」


「うん。こちらこそよろしくね、赤松さん」


「じゃあねー」


楓ちゃんを残してわたしたちは廊下を歩いた。そうそう、最原くんに言わなきゃ。


「あのさ、最原くん。わたし、今日は王馬くんの部屋で泊まる事になったよ」


「えっ!? なんで、王馬くん!?」


「王馬くんが泊まって良いよ、って言ってくれたから。最原くんにお世話になるのも悪いし…」


「ぼ、僕なら全然大丈夫だよ…?」


「うーん、でも流石に最原くんの部屋に泊まり続けるのもどうかと思うし…」


「…でも王馬くんで、ほんとに大丈夫? そうだ、茶柱さんとかに頼めば…」


「転子ちゃんはね、今日秘密子ちゃんとお泊り会するんだって。だから、ダメなの」


「そっか…。分かった、くれぐれも気を付けてね? 僕の部屋はいつでも空いてるから…」


「うん! 何かあったらそこに行くよ。あ、クローゼットから服持って行かないとね」


わたしは夕飯を食べた後、最原くんの個室から服や枕を持ち出して、王馬くんの部屋に行った。


その間、最原くんはすごく心配そうな顔してた。心配性さんなのかな?





「いらっしゃい、東雲ちゃん。にしし、今夜はつまらなくなさそうだよねー」


ああ、またこの匂いだ。この、わたしの好きな―。

36話 イタズラと悪戯→←34話 説教



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (89 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
223人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

みさっと - 面白いです!!!ヽ(゚д゚ヽ)(ノ゚д゚)ノ!! (2018年4月11日 6時) (レス) id: 0bc1c5e779 (このIDを非表示/違反報告)
みゅー@作者 - 久々に来てみたら…20000hit感謝。続編もよろしくです! (2017年11月12日 14時) (レス) id: 9a72ab82f4 (このIDを非表示/違反報告)
みゅー@作者 - 続編制作決定。 (2017年5月20日 0時) (レス) id: 4648477697 (このIDを非表示/違反報告)
みゅー@作者 - 10000hit感謝。 (2017年4月27日 16時) (レス) id: 3c0d286ec2 (このIDを非表示/違反報告)
みゅー@作者 - そう言えば、ID違いますが、2機使ってるので、なりすましではないです。 (2017年4月13日 17時) (レス) id: 84c734e715 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:みゅー | 作成日時:2017年3月22日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。