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「…これ、どうしよか。」
目の前には酔いつぶれて眠る坂田君。
「まぁ体格的に運ぶのは泉だよね。」
「ほんとすいません…。」
「ですよねー。もう帰る?」
「んー、もうちょっと飲みたいかな…。浦田君は大丈夫?」
「ぜんっぜん大丈夫です。」
そう言って首を上下に振る浦田君もだいぶ顔が赤くなっている。
あんまり無理せんときや、と優しく言うとキッと睨まれた。泉さん悲しい。
「すみませーん!お酒お代わりお願いしまーす!」
「Aさん、お酒強いんですね…。」
「んーん、私より泉の方が全然強いよ。いつも先に酔っちゃって記憶ないけど、家に帰れとるけんね。泉が送ってくれとるんやろ?」
「ほんま、感謝してほしいわぁ。」
「今度からは僕も送ります!」
「ふふっ、嬉しいけど後輩に酔っとる姿は見せれんし、迷惑もかけれんよ〜。」
「俺には迷惑をかけて良い、そういうこと?」
「泉はね〜、特別やし!」
羨ましそうな顔をする浦田くんを顔に出やすい子やなぁといじっているとAに仲良いねぇ、と言われるけど、首がもげそうな勢いで横に振られる。泉さん悲しい。
「はぁ…それにしても、まさか一年前はこんなことになるとは、、、」
でた、この話になったらAが酔っている証拠だ。早く帰さないと寝始める。
「よし、帰ろか。」
「え、急にどうしたんですか?」
まさにポカンとした顔で俺とAを交互に見つめる姿が少し可愛いなと思いながら幸せそうな顔をして眠る坂田君を担ぐ。
「ちょっ、もう帰るん?話したいことが〜!」
「帰りながら話そ。ほら、はよ歩き。」
「なんか、親子みたいですね…。」
苦笑いしながら言う浦田君に便乗して「ママー!」と叫ぶAは完全に酔っていた。
「ん、ママぁ?」
「あ、坂田君起きた?なぁ今起きたやんな?降りて?てか、誰がママやねん!」
「うぅ…。すんませんでした…。」
「いーえ。気分は?大丈夫なん?」
「大丈夫です…」
フラフラしながら半目で答える坂田君に、少し降ろした罪悪感がする。
「あぁもう坂田…ちゃんと歩いて。重いから。」
「わたるん厳しい…」
「は?わたるん?は?」
「あああごめん待って痛い痛い痛い」
「なんか、可愛いね。」
「…そやな。」
その微笑ましい目は[可愛い後輩]に向けられとるものや、って
油断しとった俺が悪かったんかな。
ここで気付いてたら、俺はAの隣に居れた?
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ひな(プロフ) - 四ツ谷さん» ありがとうございます!!四ツ谷さんにお褒めいただけるとは思わなかったのでとっても嬉しいです……! (2017年10月9日 21時) (レス) id: e3e9fe3651 (このIDを非表示/違反報告)
四ツ谷(プロフ) - え、あ、あ、好きです。え、本当好きです。あのもう好きです( 語彙力 )もうセンラ様の切ない心の表現とかきちんと出来ていて凄いな〜〜と;;これはこれでハッピーエンドなのかな、と思いました。本当に最高でした、続編も見させていただきますね…! (2017年10月9日 0時) (レス) id: b2e4870ae8 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - コメントありがとうございます!終わり方が気になっていたのですがそう言っていただけて安心しました。 惑星ループの方もゆっくりですが更新していきますのでよろしくお願いします! (2017年8月14日 17時) (レス) id: e3e9fe3651 (このIDを非表示/違反報告)
優音(プロフ) - コメント失礼します!すごく面白かったです。とても切なかったけれど、終わりにはとても胸がほっこりとしました!すごく素敵なお話で途中泣くかと思いましたw 惑星ループの方も覗いてきます!! (2017年8月13日 21時) (レス) id: eeac539ce2 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 皐月美柑さん» コメントありがとうございます!そこまで言って頂けるなんて…とても嬉しいです!!読んでくださりありがとうございました! (2017年8月10日 17時) (レス) id: e3e9fe3651 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天晴 | 作成日時:2017年7月26日 0時