第2章 思わぬ再会 ページ14
「あー…眠い」
入学式まであと十分。
私は目を擦りながら、高校生活最初の入学式を迎えようとしていた。
そんな私を見兼ねた隣の子が、心配そうに声を掛けてきた。
「大丈夫?えーと…」
どうやら、私の名前がわからず戸惑っているらしい。
「A。秋川A」
「じゃあ、Aちゃんだねっ!!
あたし、西城明菜!
あきって呼んで?」
よく喋る子だなぁと思いつつ、
はぁ…と曖昧な返事をする。
「本当に大丈夫?
クマがすごいよ?」
「う、うん…
ちょっと寝不足気味みたい」
あの女のせいでねっ!!
「睡眠不足は油断大敵だよ?」
西城明菜ことあきは、大きな目をパチパチさせて顔を近づけてきた。
それにしても、あきって可愛いな。
同性の私から見てもちょっとドキドキする。
別に変態じゃないけどさ。
髪型はボブでちょっと明るめの茶色。
結構濃い目の化粧してるけど
それがすごく似合ってて、むしろあきの可愛さを
引き立ててる。
残念な事に私は常にすっぴんで、
可愛さの欠片もないのだけれど。
それに髪型だってストレートのセミロングで、
何も弄ってない髪の毛はすごく地味に見えると思う。
髪の毛はいっつもトリートメントしてるから、
傷んでないっていう自信はある。
なんて…、
自慢にもならないけどさ。
「ねぇねぇ、ちAちゃんってどこ中?」
「私、青柳中。」
「えっ!!?
青柳中って言ったらすんごい遠いよね!?
通うの大変じゃないの?」
あきは吃驚して眉を顰めた。
「あっ、でも
今は学校近くで一人暮らししてるから
そこから通ってる。」
「そうなんだぁ〜。
今度遊びに行っていい?」
「うんっ!大歓迎。」
この学校じゃ中学の同級生なんて
居ないからすごく嬉しい。
「Aちゃんて
もしかしてアレ目当て?」
あきはいきなり意味不明な事を言い出し、
ニヤニヤとこちらを見てくる。
アレ?
アレって何の事?
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