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「大丈夫なんかぁ?」
そう言って、爽やかな笑顔を向けて頬杖をついているのは、昨日失礼な事を言ってきやがった折原千里だった。
「別に大丈夫。」
何が大丈夫、なのかと言うのはわかりきっている事だったので、聞かなかった。
ついでに、昨日の件で折原君が失礼な奴だという事もわかったので、私は敢えて冷たくあしらう。
折原君は数秒無表情だったけれど、すぐにお腹を抱えて笑い出した。
「ちょっ!!今の発言で笑う要素なんてひとつも無かったじゃんっ!!」
私は、思いっきり叫んだ。
ちなみに現在は、自習中なので私が叫んだ声以上に教室はうるさい。
「だって秋川、不貞腐れると口尖らせるんやもん。」
「っ!!」
折原君は自分で言った事にウケたのか、再び大笑いしていた。
何て失礼な奴なんだ…。
既に私は、怒りを通り越して呆れ果てていた。
「秋川ってさ…、クールなイメージあるけど、意外とそうでもないやんな?」
「・・・・・」
笑いながらそう言う折原君を最早、睥睨するしかなかった。
「秋川、体調悪いんやろ?」
「え…。体調悪いっていうか睡眠不足なだけだよ」
いきなり真剣な表情で話しかけてきた折原君に思わず身構えてしまった。
「ほならばぁ、体調悪いって事で」
「体調悪いとまでは…」
「じゃあ、保健室行こか?」
「ちょっ…」
折原君は有無を言わさず私の腕を掴むと、騒がしい教室を堂々と出て行く。
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