先輩の、となり。２

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17日の朝早く起きて、オムライスの具を炒めてタッパーに入れる。

それとご飯をラップに包むと、あとは合わせて先輩の家でケチャップで炒めて卵でくるもう。

プレゼントは小さなサボテンにした。

先輩のお部屋観葉植物がいくつか置いてあったから、植物好きなのかな、と思って。

よし、準備ばっちり。

部活も3日後から甲子園だから、今はスロー調整だし早く終わりそうだった。


そわそわしながら授業を受けて。

放課後、宮田先輩からラインがきた。

『玉とカラオケ行ってくるね！作戦順調！』

『了解です！部活終わったら連絡しますね』

カラオケ。先輩何歌うんだろ。


部活では3日後にせまった甲子園の話がつきない。

「しかしキャプテンくじ運ないよなー。
あれだけみんなで初日以外でって言ったのに」

「開会式のあとの2試合目じゃあ、開会式落ち着いて参加できないし」

「負けたら1日で帰んないとだし」

「勝とう。せめて一勝」

マネージャーの先輩から聞かれた。

「A、もう荷物用意した？」

「ぼちぼちしてるとこです。でも勝ったら滞在期間延びるし難しい」

「まああっちで洗濯もできるしね」


そんな会話してたら、ピッチング練習してたマウンドが騒がしくなった。

「太輔！」

「どうした！」

「大丈夫か？！」


嫌な予感がしてマウンドに走って行くと。


部員に囲まれた中で。


太輔が、肘を押さえて倒れてた。



太輔、って駆け寄ろうとしたけど、声が出なくて足が動かない。

走ってきた監督が太輔を立たせると、病院に連れて行くから、今日は自主トレだけして帰れって言ってる。

太輔は下を向いたまま、何も言わない。


監督と太輔が歩きはじめて、やっと我に返る。

「監督！私も連れて行ってください」

監督がちらっと太輔を見ると、太輔は何も言わなかったけど、小さく頷いた。

私と太輔のカバンを持って、監督の車に乗る。

太輔は車の中でも一言も喋らなかった。


スマホがぶるって震えたから、見ると、宮田先輩からだった。

『玉ご機嫌で歌ってます』

はっとする。先輩の、誕生日だ。

……でも行けない。

『ごめんなさい、今日行けなくなりました』

それだけ送る。

宮田先輩から、Aちゃんどうしたの？何かあった？って何回かラインがきてたけど。


返せなかった。

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