55.記憶2 ページ6
『さざめ……』
思わず呟くその名前
はじめて耳にした母親の名前
今まで知らなかったことが不思議に思う
隆景「それが、彼女の名前です。」
再び口を開き、昔の記憶を話す
ーーーーーーーー
そこから、私と彼女は一気に距離が近付き
彼女は私を弟のように、私は彼女を姉のように、可愛がってもらい、慕っていました
そしてそんな中、彼女の嫁ぎ先が決まりました
小早川家の血筋を直結に引いている彼女を嫁がせる程大切な婚姻でした
実の姉のように思っていた彼女が嫁いでしまうのは寂しい気がしましたが、それほど大切なものだということ自分に言い聞かせていました
ですが
ちゃくちゃくと準備が進んでいる中、事件は起こりました
ーーーーー
『……事件…?』
はく「…嫁ぎ先で何かあったのですか?」
隆景「いえ……」
目線をそらし、悲しそうな顔をしながらそっと口を開く
隆景「……突如、婚約解消。小早川家家臣の一族皆殺し、細殿の追放」
『え………?』
はく「み、皆殺し……??」
隆景「…なにが…あったのかは私もわかりません。当主となった身になり前当主へ聞いても曖昧なまま。家臣の中にはその事件の事自体知らない者も。」
『……』
隆景「その事件も、細殿も、突如滅亡した家臣一族のことももともと“なかったこと”になってしまったのです。誰にも伝えられず、知っている者は墓までその秘密を抱え、存在しなかったことに。」
『………そんなことが…』
はく「…そこ婚約は結局破棄になったままなのですか?」
隆景「…それも、確かなことはわかりません。しかし、結局のところその家はもう存在しません。滅亡したのです。」
『………ということは』
隆景「はい。代わりに誰かを嫁がせた、ということはないでしょう。そのまま小早川家は同盟を組まず敵対したままその家は衰弱し、滅亡といったでしょう」
『…………』
隆景「残念ながら、私が覚えていることはそのくらいです。さぁ、今日はここら辺でお開きにしましょう。明日も早いですし」
そういいながら腰を上げる隆景
『あ、はい…ありがとうございました』
腑に落ちない、と顔に書いている一愛はうなずいた
謎がより深まった
隆景「…父上なら…なにか知っているかもしれませんね」
『え?』
隆景「確証はありませんが…一応父上は小早川家と良好な関係を結んでいた毛利家当主なので」
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サクラハナミズキ(プロフ) - 稀代さん» ありがとうございますっ!すごく嬉しい…(*^^*)!更新がんばります♪ (2019年6月21日 17時) (レス) id: db2bd56246 (このIDを非表示/違反報告)
稀代(プロフ) - めっちゃ面白いです!更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2019年6月19日 21時) (レス) id: 409dd2a048 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サクラハナミズキ(前名:桜 水樹) | 作成日時:2019年3月27日 8時