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79.父親3 ページ30

夢を見た


いつだっただろうか


優しい風が吹き、稲穂がゆれる


その風と一緒に甘い香りが鼻をくすぐる


縁側に座り、その匂いに目を細める


私の隣に誰かが座り、庭に植えられた木を見つめる私に話しかける


「甘い香りがするだろう…?」

『父上…この花は、なんとゆうのですか?』

キラキラと興味を示す私に父上は微笑み、そっと大きな手で私の頭を撫でる


「銀木犀」

『ぎん…もくせい?』

聞き慣れない名前に首をかしげる

「鶫、この花が好きかい?」

『はい…!甘い香りがします!』

そう言い、私は小さな手を木に向かって伸ばす

「そうか…」

すると、父上は私の頭の上に置いた手を動かし、また頭を撫でる


「鶫、この花はね…」


「君の母上が好きだった花なんだよ」


『母…上が?』

「…鶫、お前は…」


父が珍しく私の肩を抱きよせる







「私の、父上の子だよ」









『…はっ』

一愛は目を開き、体を起こす

パサリと布団が落ち、これが夢であることを知る

『…夢…か…』


そうだ、夜が来て、隆景さんのとこの部屋を貸してもらって…


『……』


一愛は落ちた布団を握り、ついさっきまで見ていたあの夢を思い出す


…父上



どうして、忘れてたんだろう、



はく「…ん〜?姫様ぁ?」

目をこすりながら隣で寝ていたはくが体を起こす


『あ…、ごめん、起こしちゃった…?』

はく「いいえ、別に気にして…え?姫様?」

眠そうな声から一愛の顔をみてはくは目を見開く

はく「…泣いてたんですか…?」

『え…?』


その言葉に驚き、頬に手をあてながら自分が泣いていたことを自覚する

止めようと目をこすっても溢れ出てくる

『あ、あれ…?どうして…、あれ…?止まらない…』

そんな一愛を見ながらはくは布団から出て、一愛の手をとり微笑みながらいった



はく「帰りましょう、姫様。みんなが、大切な人達がいる所へ」

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サクラハナミズキ(プロフ) - 稀代さん» ありがとうございますっ!すごく嬉しい…(*^^*)!更新がんばります♪ (2019年6月21日 17時) (レス) id: db2bd56246 (このIDを非表示/違反報告)
稀代(プロフ) - めっちゃ面白いです!更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2019年6月19日 21時) (レス) id: 409dd2a048 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サクラハナミズキ(前名:桜 水樹) | 作成日時:2019年3月27日 8時

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