検索窓
今日:9 hit、昨日:12 hit、合計:11,235 hit

77.父親 ページ28

『ここ…が?』

与六が一愛達に木の間から覗くその光景を見せるように隅に下がる

一愛達は木の間を通り、小さな空間へ足を踏み入れた




その空間はまるで一愛達を囲むように草木が生い茂っている



そして、両手で抱えれる程の大中小の石が不格好に積み上げられているものを見つけた



墓だ



『……』

一愛は思わず息を飲む



そっと近づき、しゃがみ込みその小さな墓を崩さないようになぞる



『(…こけが生えてる…)』


年期が入り、ちょっとつついただけでは崩れないようだ

はく「絶妙なバランスで積み上げられてますね」

はくが近づきながら話しかける

『ええ…』

ここが、




ふと、一愛は墓の後ろに咲いている花に気づいた


『…これは…』



手のひらに落ちた白い花を見つめ、上を見上げる


優しい風が吹き、甘い香りが一愛の鼻をくすぐる


隆景「銀木犀…ですね」

隆景は木を見上げながらつぶやいた

『……』

一愛は目を細め、しゃがんだまま銀木犀を見上げる

小さな墓には少しそぐわない立派な大きな銀木犀の木が墓の後ろに立っていた


隆景「これは…とても立派ですね、」

はく「これもお二人が?」

十数年…とゆうところか、とても立派にそびえ、年期の入っている


与六「わかりません、ですが」

『……』

一愛はもう一度墓を見つめる

石を積み上げただけ、とてもこの立派な木に合うような物ではない

とても質素だ


その上、この墓を作った彼らは小早川領土にすべてを捨ててこの地にきたのだ

こんな立派な木を植えれるほどのお金はなかったはずだ

なら、この木を植えたのは?


隆景「私の父上…てことは考えられませんね…」



…このお墓を作ったお二人方でもなく、元就殿…でもないとすれば、誰が…?





甘い香りが再び一愛を包む


白い小さな花が優しく揺れる

すると、甘い香りがいつかの思い出と重なった


ーーー「鶫、この花はね」

自分の小さな手が木に向かって伸ばされる


「つまり、彼女が鬼花にたどり着いたときには…」


ーーー「甘い香りがするだろう…?」

上を見上げると誰かがそっと微笑みながら頭を撫でる



「小早川にいたときよりも症状が大きく出ていた…とゆうことにはなりませんか?」


ーーー「君の母上が好きだった花なんだよ」

優しい風が吹き甘い香りが二人を包む

 
「…一愛殿のお父上は…知っていたのではないでしょうか?」

78.父親2→←76.橘4



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (10 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
20人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

サクラハナミズキ(プロフ) - 稀代さん» ありがとうございますっ!すごく嬉しい…(*^^*)!更新がんばります♪ (2019年6月21日 17時) (レス) id: db2bd56246 (このIDを非表示/違反報告)
稀代(プロフ) - めっちゃ面白いです!更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2019年6月19日 21時) (レス) id: 409dd2a048 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:サクラハナミズキ(前名:桜 水樹) | 作成日時:2019年3月27日 8時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。