【あんスタ】短編ですが！（２）

＿＿＿ ページ9

IBARA







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喉が渇いたから、何か飲み物を


取りに行こうと、副所長室を出た。









いや、出ようとしていた。









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社員「バレンタインに差し入れして下さったチョコのお返しです」









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すると、聞こえてきたやり取り。









副所長室を出た少し先で、


Aさんと社員の男が何やら話をしていた。









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「こんな立派なもの頂けませんよっ」









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社員「いいんです」









社員「これはお返しにかこつけた、俺からの気持ちとして受け取ってください」









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断ろうとするAさんに対し


そいつはやや強引だった。









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Aさんは優しい人だ。









基本的に、人からの厚意は


失礼にならないように頂戴するタイプ。









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だから、今回も…。









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などと、一抹の不満と共に


そのようなことを考えていると。









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「…ごめんなさい」









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「だったら尚更、頂けないです」









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差し出された物を、



グイッと押し返すAさん。









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そして。









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「私、好きな人がいるんで」









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そう言って、軽く会釈。









くるっと踵を返し、


こちらに向かってくる。









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七「…！」









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俺は咄嗟にドアを閉めたが、


間髪入れずに、


ノック音が鳴り再び開かれる。









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「え、どうしたの？」









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七「あ、いや…その、」









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俺を見て、不思議そうにする


Aさんが言う。









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「顔、真っ赤だよ？」









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